みなさんこんにちは!
私はnoteにおいて「舞浜戦記」を連載しています。これは僕のキャスト時代のエピソードをまとめたもので、数々の思い出と共に貴重な体験をしたとか派手に失敗をやらかした話だとかを不定期連載中です。
が、思い出したことを順列的に公開しているので、若干分かりにくい構成になっています。
基本的に時系列を追う形で書いていますが、過去分をきちんと整理してみました。
これでより理解度が高まれば幸いかと思います。
ただし、noteでも同じ形式で記事をアップしており、こちらと差別化するために、ちょっと裏話的なアプローチをしてみたいと思います。
というわけで、カヌーかジャングルクルーズみたくかけ声を。
「オーケー、ディースパーッチ!」
目次
基礎知識編
まずは僕のプロフィール代わりにこちらをどうぞ。舞浜戦記のトリセツです。
かなり昔の話とは言え、実際にあったことを可能な限り忠実に書き記してあります。
なお、職務上のあまり知られていない事柄も積極的に取り上げることがあるのでご了承下さい。
舞浜戦記・直前スピール
ここで基本的な編集方針をまとめてあります。
直前スピールというのは、パレードのゲスコンをしている時、パレード開始直前に行う告知のことですね。
最近パークに遊びに行っていないのですが、YouTubeを見ると、直前スピールはパークワイド(園内放送)でやっているみたいですねぇ。
まあその方がキャストのレベルの差でクオリティが違ってくる問題を解決できるので、いいっちゃあいいんですけど。
ええ、いいんですけどねー
(ちょっとだけ不満)
ああ、いかんいかん、年寄りの愚痴みたくなっちゃった……。
何の役にも立たないディズニーキャスト用語集
長年キャストとして勤務していると、専門用語を使うのに慣れすぎて、一般用語で説明するのが面倒になります。でもゲストには通用しないですからね。
一般用語は必要です。
あ、ところでディズニーキャストは正式なアトラクション名や施設の名称を省略して言ってはいけないという暗黙の了解があります。
たとえば、「スプラッシュ」って言っちゃダメなんですよ。正式名称は「スプラッシュ・マウンテン」だからそう言わなくちゃいけない。
でも施設名やイベント名って、だんだん正式名称が長ったらしくなってきて。とってもいいにくいんですよねー。
◯◯の☓☓☓☓、くらいならいいんですけど。
△△△△△△△△△の□□□□□□□□□□□□、なんてめっちゃ長いタイトルのイベントとかやっている期間はもうね、面倒ったらありゃしない(笑)
ゲストは省略して質問してくるんだけど、こっちは正式名称で回答するわけです。
小動物の郷の片隅で
TDLを入場して一番奥の奥地に、クリッターカントリーは位置しています。本当に片隅で、僕はずーっと勤務していました。
思い出の名シーンって、誰にでも分かるような場面だとありきたりなフォトロケになってしまう。たとえばパレードがよく見える場所とか。
そんな場所、みんな殺到するから真っ先に人で埋まってしまうんですよ。
だから自分が勤務している中で目撃した、また印象に残った場面で、誰でも知っているわけではないシーンを紹介しました。
しかーし!
乗り場と降り場が同時に見渡せる位置は、通路を進んで長さにして2〜3メートルくらいの間しかない。先に進んでしまうと壁で塞がれて両側とも見えなくなるし、手前すぎるとやっぱり壁と柱で見えない。
しかも、右側を見るには右よりに寄らないと見にくいし、左側の乗り場を眺め下ろすには、右の柵に寄りかかって下の方を覗かなきゃ、見通せないという無茶なアングルだったりして。
そんなんムリに決まっとるやん!
とお怒りになるでしょうね、見に行った人は。
そう、普通のゲストのみなさんには目撃するのが難しいのです。ごめんちゃい。
給与明細から見るキャストの待遇と、早く辞めたかった話
いきなり給与明細かよっ、と意表をついた話題。明細って別にお金が入っているわけじゃないし、自分の勤務時間を計算すればだいたいの給与額は分かるんだけど、それでもなぜか欲しくなるんですよね。
ウォルトの名言はこれです。
「世界で最も素晴らしい場所を、誰もが夢に見、創造し、デザインし、作ることができる。だがそれを実現するのは人なんだ」
こんな感じだったかと。
仏像は誰でも作れるけど、そこに魂を込めるのは人なんだよ。ということですね。
でもウォルトの言葉で、僕が最も好きな言葉は別にあります。そのうち紹介しますよー。
パレードに行った僕がやらかした最初の大失敗:エレクトリカルパレード
アトラクションキャストの仕事って自分のアトラクション以外にもやることがあって、というお話。舞浜戦記は本来僕の失敗談を下地に書こうと思っていますので、覚えている失敗を片っ端から取り上げようと思っています。でも過去の失敗はけっこう都合よく忘れている……。なかなか思い出せない。苦労せずに思い出せる失敗の中で、かつ公表できるものを。
タイトルだけ見てパレードの内容に関係あるかと思ったら大間違い。キャラクターの止まる位置なんか出てきません、ご了承下さい。
夜のパレードは数えるほどしか勤務しなかったけど、昼のパレードはうんざりするほど出ていました。でもネタになるエピソードは、言葉で説明しても理解できないだろうしキャストでないと面白味が分からないだろうな〜。なので却下。
同業者にはめっちゃ共感してもらえると思うけど、それ以外の方にはほぼ受けない話は、なるべく避けようと思っています。
さて、ここからいよいよ具体的にアトラクションのエピソードに入っていきます。
蒸気船マークトウェイン号の章
園外まで響き渡る鐘の音:蒸気船マークトウェイン号・01
僕がキャストになって初めて配属された蒸気船マークトウェイン号でのできごとです。デビューしてまだ半月足らずだったのに、いきなりゲストに殴られた話。
タイトルは、いつも舞浜駅から歩いて出退勤していると、園外にいても蒸気船の汽笛が鳴り響いているのが聞こえてきて、ああ自分がいない時も船は動いているんだな、と一発で分かる、というシーンをイメージしています。
キャストの最も重い罪は遅刻である:蒸気船マークトウェイン号・02
キャスト経験のある人なら誰でも共感してくれるであろう、時間厳守のお話。キャストって本当に時間に厳しいのです。「一分でも遅刻は遅刻」この言葉を何回聞いただろう。
僕も当初は遅刻を重ねてしまい、リーチがかかったお話です。
最初から期待されていなかった僕:蒸気船マークトウェイン号03
遅刻を連発した僕は、マークトウェイン号でいわくつきの新人になってしまいました。このままでいいのかっ!と一念発起したのが、僕の原動力となりこの後のキャスト経験の基盤となっていくのです。もしこれがなかったら、すぐ辞めていたかもしれません。
そう考えると、何がこの先の人生を決めるのか、本当に分からないですね。
そしてコスチュームのダブル貸与は禁止になった(前編):蒸気船マークトウェイン号・04
本当はこの話、書くのやめようと思ったんですよね。だって直接僕がやらかした話ではないし、あの後Kご君はほどなく卒業して退職してしまうので。
ただコスチュームの話って、デザインくらいしか話題にするネタがないじゃないですか。実際の着心地はどうかとか、本当は何を着たかったとか値段はいくらくらいか、とかは面白そうだけど。
ちなみに、ホーンテッドマンションの女性キャストのメイド服は一着10万円もするそうですよ! でもあれ、彼女たちに聞くとかなり○○臭いらしい……。
ちょっと珍しい、他の人が触れないようなネタだったので。またダブルイシュー禁止はのちのちまで悪影響を及ぼしたので印象に残っていたのです。あの事件のせいで、どれだけみんな迷惑したか(笑)。
そしてコスチュームのダブル貸与は禁止になった(後編):蒸気船マークトウェイン号・05
そう言えば、ここに掲載したイシューカードだけど、2000年代に入って以降、複写式からレジロール形式の熱転写プリンタで打ち出す用紙になったんですよね。
これが外気にさらしていると印字が薄くなっていって見えなくなる。新しい用紙も持っているけど、ほとんどアイテムの名称が薄くて読みにくくなっています。
あ、上の記事で、ビッグサンダー・マウンテンのバンダナの巻き方をイシューキャストが教えてくれなかったと書いたけど、本当は知っていたのかもなぁ。でも僕の時は、確かロケーションで教えてもらって下さい、って言われたと思うんだけどな。
人は自らの性格を変えることができる〜蒸気船マークトウェイン号・6〜
マークトウェイン号での勤務についてちょっと書いてみようと思ったのがきっかけです。
春のアメリカ河の自然は、生命がキラキラ輝いていてここが埋立地だとは思えないほど。匂い立つ草花の新緑、やや塩素くさいアメリカ河の水面、鳥たちが舞い飛んで森を賑やかに彩る。明るく暖かい日差しが照りつけて、夏の到来が間近に迫っているのに気付かされます。そんな中を蒸気船が航行していくのです。
のんびりした船旅が、ちょっと単調ではあるけれど、趣のあるひととき。
スプラッシュ・マウンテンに異動した後も、この独特の世界観は自分の中でひときわ思い出深く記憶に刻まれています。
またカヌーキャストの面々とも仲良くなったり。途中アメリカ河のルールの解説がありますが、僕らはお互いに譲り合って動いているんだと分かっていただけたら本望です。
テレビ取材で僕が受けたダメ出し〜蒸気船マークトウェイン号・7〜
なんか僕、何気にテレビに出た自慢してますね。冷汗ものです。(苦笑)ネタが薄いので関係ないことばっかり書いてます。
汽車の話は別の機会に書こうと思っていたのに思いっきり書いてるし。
この時マークトウェイン号の取材に来たテレビ局は、確か四国の地方局だったんですよね。高松?高知?うーん覚えていない。
こうやっていろいろ思い出してみると、実はマークトウェイン号とスプラッシュ・マウンテンって近いだけあって、因縁を感じるできごとがいくつもあるんですよね。
たとえば、僕がマークトウェイン号の勤務に入っている時に、スプラッシュ・マウンテンの第一号採用キャストが見学でマークに乗りに来たことがあったりとか、某スプラッシュキャストが何度もインパークして乗って来たとか。
これはあとで書いてみようっと。
操舵室の僕が、船を止めた:蒸気船マークトウェイン号・08
これはけっこう珍しいアクシデントで、マークってあんまり緊急停止することってないんですよね。おそらくマークキャストの経験者でも船を止めたことってあんまりないんじゃないかな。僕も一年半くらいやってて、この時一回きりだし。
リバー鉄道だと、子供の落車とかが結構あったんだけど。いやマジで。
実はこの時のエピソードで最も重要なのは、船を止めたことじゃないんです。他にあります。それは……おっと、今はまだ言えないぜ(笑)。
もったいなくて、今は我慢しとこう。楽しみは後に取っておくタイプなんで。
マストにひるがえる旗と、船の最大の弱点:蒸気船マークトウェイン号・09
マークトウェイン号に掲げられた旗のお話です。
あの旗は何枚あるか知らないけど、数ヶ月おきにクリーニングしてるんですよね。コスチュームと同じで、洗濯に出して、数ヶ月おきに交換するんです。
で、真新しいのが到着して、今まで使っていたのと比べると、色が全然違う(笑)。一日中掲げているとやっぱり汚れるんですよね。舞浜の空気はすこぶる汚い。クリーニングした旗はめっちゃきれいで色が鮮やかです。
船着場の隣は新アトラクション建設現場:蒸気船マークトウェイン号・10
いよいよマークとスプラッシュの関連性が色濃くなってきます。
つくづく僕がラッキーだと感じるのは、こうやって思い出をほじくり返してみると、マークからスプラッシュへ異動したのは何かの因縁だとしか思えないんですよね。
だって、隣のマークトウェインにいたからこそ、スプラッシュの出来上がってくる過程をじっくり毎日観察できたんだし。
あのジオラマ模型だって、最初見た時はまさか自分がこれに関係するとは夢にも思っていなかった。
マークトウェイン号の航行するすぐ横でクリッターカントリーは建設されていたんだけど、工事現場で働く作業員達は園内とは無関係。船から見ていると、斜面の土手でよく作業員達が寝転がってこちらに手を降っていました(笑)。
でもこれはバッドショーなので、船着き場に戻るとリードに報告する。そして工事関係者へ電話で連絡しやめさせるように依頼するのです。だって夢壊しまくりですからね。
ひどい時は、ロープを張ってそこに雑巾を干していたりしてた。やりたい放題だったな。
蒸気船に別れを告げるとき:蒸気船マークトウェイン号11
スプラッシュ・マウンテンへの異動が決まったエピソードです。
今でも思うのは、この時スプラッシュへ行けなかったらどうなっていただろう、ということ。実はこの時から何年も後に、マークのトレーナー達が何人かスプラッシュへ異動したりクロスで一時的にやって来たりしていたんですよ。だから、たとえここで行けなかったとしても、その数年後に、ひょっとしたら行けたかもしれないな、と思ったり。
自分の希望のアトラクションへ行くことはほぼできないけど、同時に奇跡はどこかに眠っているんです、舞浜には。
それで奇跡があったから、この舞浜戦記が書けたんですよ。とうまくまとめてみる。
その中の一人、「ダンナ」君の話に全然触れてなかったな。スプラッシュ本編のどこかで語ろうかな。
さて、これでマークトウェイン号編はいったんおしまい。
ネタはまだまだあるし、スプラッシュとの因縁エピソードもあるけど、ひとまずここまで。