こんにちは。舞浜戦記ブログへようこそ!
noteで不定期連載している「舞浜戦記」は、僕のキャスト修行の日々を描いていますが、実は小ネタがいくつもあり、ほとんどは文章化できていません。
裏事情のような、あまりおおっぴらにできないことはカットしているので、いまいち面白味がなくて当然なのです。
じゃあ、オチはないけど簡単なつぶやき程度のネタなら?
ご紹介できるかな、と。
お試しで、ご賞味ください。
目次
トレーニング初日に遅刻した時の、M氏の反応と僕との会話
さて、僕はいよいよ現場でのトレーニングだ!と意気込んでいたわけですが。
よくディズニーランドやキャストに憧れる人みたいな、めっちゃ気合いを入れたりもなく、また妙な気負いもなく。
普通のアルバイトでもすっべー、みたいな(どこの方言だw)、超気軽な気分で出勤したわけです。
なわけだから、電車の時間も一応確認していたのですが。
初日の朝。
僕は当時、舞浜へ行くのに、武蔵野線に乗るのが最短距離だった。
時刻表を見たら。
あれ、東京行きの時刻が違う……?
途中で乗り換えるんですが、乗り換えのタイミングが狂ってうまく接続できず、ちょうどいい武蔵野線に乗ることができない。
乗り換え時の、ほんの2分前くらいに、乗りたい電車が行ってしまった……
次は、20分後だと?
それで舞浜につくのは……6:32やん!
出勤時間は……6:30やん!
Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン
こんな感じ。
……仕方ない。
しゃあない。
半ば諦めかけて、開き直って行こう。だって乗れなかったんだからしょうがねーじゃん。
そんなことを考えながら、電車に揺られていました。
で、舞浜に着いたらとりあえず小走りになって、セキュリティゲートをくぐり、ロッカーでコスチュームに着替え、2階の運営部オフィスへ。
オフィスは両開きの扉が、常に開放されている。
入っていくと、そこにはオフィスの人(OUって呼ばれている)が2〜3名、席にいます。
中央にキャビネットが置かれ、その奥にデスクが並んでいる。
「あのー、今日トレーニング初日なんですけど、遅れてしまい、すみません」
とご挨拶。
「あ、はい。今トレーナーさんを呼びますね」
居心地の悪いまま、僕はその場に突っ立っていました。
約5分後、やって来たのが僕のトレーナー(親)、M氏。
やっぱ、怒られるかな?
初めて顔を合わせた時、彼は元々無表情な人なので、ちょっと怒ってるかな、と思ったのですが。
対面した時は全然普通に挨拶されたので、逆に意外でした。
「どうも。トレーナーのMです」
「あ、遅れました。すみません」
と僕も挨拶。
「じゃあ早速行きましょうか」
挨拶もそこそこに、僕らはオフィスを出た。
ウエスタンランドまでのウォークスルー
僕はこの時のことを、やたらとはっきり覚えている。
ワードローブビルを出ると、少し広い駐車スペースのような場所がある。
奥の方に、建物と建物の隙間があり、道ができている。建物の壁沿いにケージが並び、ショップで販売するグッズが山積みになって無造作に置かれている。
建物はアドベンチャーランド風のデザインで作られている。ゲストが来ないこんな場所まで、丁寧に装飾されている。
通路脇には、アドベンチャーランドのどこかのショップで販売する商品が、普通に置かれていた。
その間を抜けて、僕らはオンステージへ向かった。
歩いている間、M氏からの質問が始まった。
君、いくつ?
何年生まれ? あ、俺と同じじゃん。
何月生まれ? 12月か。俺は5月。やった、俺の勝ちぃ!
そう、M氏は僕とタメだったのだ。
1分もしないうちに、オンステージへの道が見えてきた。
さして広くもない道は、途中で二つに仕切られている。真ん中を走る低い仕切りがあり、左側へ僕らは入る。
すぐ左横はジャングルクルーズの並ぶ列。手すりが並んでいる。
通路を進むと、いきなりオンステージの風景が飛び込んできた。
アドベンチャーランド。
ジャングルクルーズ乗り場前だ。
「さて、ここは何でしょう?」
M氏の質問はテンポよく放たれる。
「ジャングルクルーズですね」
「正解!」
M氏はさらに、
「じゃああっちは?」
彼が指差したのは、魅惑のチキルーム。
僕はきちんと答える。
この辺の施設は、半月ほど前に行われた運営部オリエンテーションでも見学したので、知っていた。
「当たり! じゃあ横のレストランの名前は?」
「ポリネシアンテラスレストラン」
「いいね、正解」
この時代は、スイスファミリー・ツリーハウスは存在していなかった。森の茂みのような状態だったかな?
チキルームの横の道を歩いていく。
すぐにウエスタンランドへ突入だ。
「あ、そう言えばさ、給料日だけど。月末締めの翌月15日支払いだよ。蓄えはあるだろうけど」
いきなり現実に引き戻される話が来た(笑)。
「あ、はい」
と答えたが、確かこの頃は貯金がわずか3万円しかなかったはずだが、さすがにそれは言えなかった。
別に単発のバイトをして補っていたので、まあ何とかなってはいたが。
「ウエスタンランドに入ってきました。本当は施設の紹介をするんだけど、時間がないからまっすぐマークへ行こう」
はい、すみません……。
トレーニングはいつ、何をするかが綿密に設定されている。
マークのトレーニングは、おそらく初日のこのタイミングで、近隣施設のオリエンテーリングを行う予定だったのだろう。
しかし、僕が遅刻したせいで、それを行う時間が削られてしまった。
これは僕自身が、のちにスプラッシュ・マウンテンのトレーナーになった時に痛感することになる。
トレーニー(教わる人)が数分遅刻しただけで、その後の予定が狂ってしまうのだ。
そんな事情をまるで知らない当時の僕は、はいと返事をしつつ、ただ彼についていった。
マークトウェイン号のオープニング作業開始
ウエスタンランドの真ん中を突っ切っていくと、正面にウエスタンリバー鉄道の高架が走っている。
その下をくぐると、正面に見えてくるのが、蒸気船マークトウェイン号の乗り場である。白い装飾が春の早朝の日差しを浴びて輝いている。
乗り場の正面に入口がある。
2箇所の入口のチェーンは開いていた。
そのままM氏は通り抜け、入っていった。
僕もついていく。
まっすぐ待合室を抜けると、さらに奥の低い扉がある。
その先に、船着場があり、正面に、白い巨大な船が横付けされていた。
船だ。
「はい、船です」
とか何とか言ったまま、M氏はどんどん進んでいく。
乗船し、船内を階段を上り、2階デッキへ。
2階へ上がると後方へ行く。
マークトウェイン号の2階の後ろには、壇状の部分がある。荷物などの装飾品(プロップス)が置かれている。本来は、ここでバンドが演奏できるようになっているようだ。
その奥に扉があった。
扉は開いており、中に一人のキャストがいた。
「おはようさん」
とM氏が声をかける。
「あ、おはようございます」
そこにいたのが小太りのキャスト、ヤマ君である。
「今日初日の」
僕を紹介するM氏。
「おはようございます。よろしくお願いします」
と僕はご挨拶。
「よろしくお願いします」
とヤマ君。
「もうやっちゃった?」
M氏は作業の様子を見る。
「あ、もう終わっちゃいました」
「そう。じゃあ説明だけやろう」
ここでオープニング作業を、僕は習う予定だった(が遅刻によりカット)。
「開園前の作業があって。ここでテープスピールのチェックをします」
早速説明が始まった。
★
船内の作業をざっと説明され、気がつくと開園30分前。
ここでリードの紹介をされた。
「今日のオープンのリード、ヨコさんです」
「おはよう。よろしくね」
「はい。今日は遅刻してすみませんでした」
僕は言い訳チックに挨拶した。
ヨコさんは僕が初めて会ったリードであり、なんと、その数年後にスプラッシュへ異動してくるのである。
「じゃあテストトリップが出るので乗ろう」
M氏と僕は船に乗り込んだ。
船は出発。
開園前に、実際に船を出して、施設が正常に働いているかを確認する。
船自体はもちろん、船から見える景色にも設備はある。
トムソーヤ島の岸辺にいる鹿やムースはきちんと動いているか。
山小屋はちゃんと燃えているか。煙は出ているか。インディアン達は正しく動いているか。
この時、僕はただのんびり景色を眺めているだけだった。
いや、色々説明をされていたかな。
操舵室へ上がり、各階のデッキを見て回り、そしてあっという間に蒸気船は船着場へ戻る。
さあ、もうすぐパークオープンだ。
(つづく)