みなさんこんにちはー!あっくんさんです。
今日は、アトラクションが避けて通れない101の話です。
僕はスプラッシュ・マウンテンをはじめとして、いくつかのアトラクションで勤務したことがあります。
全てのアトラクションで、共通していること。
それらで必ず起こりうるのが、
「101」
です。
これ、何かというと、「運営停止」と言う意味のキャスト専門用語です。
ひゃくいちではありませんよー。
読み方は「ワンノーワン」ですね。
アトラクションは機械である以上、何らかの条件によって、止まることがあります。
乗り物だけでなく、シアター型アトラクションも止まることがあります。映像消失などが、たまーに発生します。
できれば避けたいものですが、どうしても避けられない場合があるんですね。
今回は、そんな運営停止についてお話しましょう。
実のところ、101はかなりディープな内容で、語り出したらきりがないほどたくさんのエピソードがあります。
まあ、ガチで話し始めたら、3日くらいぶっ続けで語れます(笑)
なので、全てはお話できませんが、ちょっとだけご紹介しましょう。
お待たせしました。それでは、出発でーす!
目次
なぜ101って言うのかは知らないが、おそらくあの作品が由来では?
運営停止を101と呼ぶのは、キャストなら誰でも知っています。ところがその由来は、知りません。
僕も知らないんですよね。だって昔っからそう呼んでいたから。
元々はセキュリティ・キャストの無線用語ですね(確か)。無線講習を受けた時にそう聞いたような気がするけど、気のせいかも。
ただ、推測すると。
ディズニーで101といえば、そう。
「101匹ワンちゃん」が元ネタじゃないでしょうか。
つまり、ダルメシアンが101匹もいて大騒ぎしているところを想像すると、まさにアレだよね、って感じです。
もう説明の必要がないくらい、そのまんま。
めっちゃくちゃな状況、です(泣)。
最も多い運営停止は、安全装置の作動
アトラクションが止まるのは、どんなときでしょうか。真っ先に思い浮かぶのは、「機械的故障」でしょうかね。
っていうと、えっそんなに簡単に壊れるの、と思いますが、壊れる時は壊れます(笑)。
いや、本当の故障はそんなにめったに起きないですね(どっちじゃい)。
他にはキャストが意図的に止める時もあれば、悪天候の時も停止させます。その話はまた別の要因なので、別の機会にします。
最も多い101は、厳密にいうと、「壊れる前に止まる」です。
ライド系アトラクションはどこにも必ず安全装置があります。で、運営中に何らかの異常を検知すると、システム自体が停止します。
センサーの異常、ライド(乗り物)の異常、センサー故障など、いくつもの要因があります。
安全装置の作動が一番多いですね。
キャストのスピールで、そう言っているのを聞いたことがある方、多いのではないでしょうか。
「◯◯は、安全装置作動のため、運営を一時的に停止しております」
といった告知を。
僕も死ぬほど言いまくりました。人生30回分くらい「安全装置作動のため〜」って言いまくったので、もう言いたくない(笑)。
最低でも1万回は言ってたはずだ。
安全装置の話は舞浜戦記でも書いていました。
キャストがわざと止めることもある
アトラクションを止めることもあります。意図的に停止させる、ということです。
ところで、運営停止とは、どの程度を言うのでしょうか。
マウンテン系にはどこも、「ステーションストップ」という機能があります。
文字通り、ステーション(乗り場/降り場)内のライドを停止させることができます。
たとえば、お客様が危険行為をしたとします。
あっ危ない、と思ったら、キャストがボタンを押して停止させます。
これも安全装置です。安全確保のために乗り物を止めます。安全が確保されたら、再始動させます。
僕が現役の頃は、盛り上がった学生さんとか外国人ゲストはしょっちゅう危険行為をしますので、頻繁に停めていました。
あーハイハイ、てなくらい手軽に止める。本当はそれ、よろしくないんですが。
アトラクションはおもちゃじゃありません。
ポンポン止めたり動かしたりするのは、機器に負担がかかる。また、無駄な時間が発生して待ち時間に影響を及ぼすので、できれば避けたい。
でも、危険行為をやめてくれればすぐ乗り物を動かします。
じゃあこれって「101」なのかというと、違います。
アトラクション運営上の定義としては、「1分以上停止させた場合」は101として扱う、という決まりがあったと記憶しています。
と言っておきながら、スプラッシュでは1分以上止めていて、再開したあと101の連絡をしなかったことが割とありましたが(笑)
いやね、101になったら、アトラクションからセキュリティ・オフィスへ連絡する必要があるんですよ。それ、面倒だからやってなかったり(笑)
「い、今のは101じゃないもん、ちょっと長かったけど違うもん」みたいな(笑)
適当にごまかすわけでして(笑)いやごまかしてないよーだ。
全部のボートが止まったわけじゃないから、101じゃないもん!ってこと。
話はそれましたが、ステーション内のライドが停止しただけでは、101とは言わない。
全体が停止して初めて、「101」というわけですね。
メンテさんこそ、舞台裏を支える重要な影のスタッフ
アトラクションは常に動いているのが理想です。
その日パスポートを買って入園したゲストにとって、いつ行っても動いている、のが普通ですよね。日没で終了するカヌーとかは別として。
それなのに、次あれに乗りに行こう、となって行ってみたらやってない。そりゃあガッカリしますよね。
少なくとも、故障は発生しないように、メンテさんが常日頃からきっちり整備を行っている。
パークが閉園したあとのアトラクションに、メンテさん達が颯爽と現れます。僕ら運営部のキャストの勤務が終わったと同時に、彼らメンテナンスキャストの出番です。
そして、誰もいなくなった内部へ入っていき、定期点検を行う。作業は朝まで続くんです。
万全の体制を整えた上で、アトラクションは成り立っている。
通常のメンテナンスは、一つのアトラクションにずっといずっぱりではなく、複数のアトラクションを順番に回っていきます。
メンテさんにとってはランドもシーも関係ないので、あっち行ったりこっちに戻ってきたり、縦横無尽。
閉園して、姿をあらわしたメンテさんが、
「スプラッシュが終わったら、次はインディ。それからストームライダー行って、ジャーニー(センター・オブ・ジ・アース)。で、また戻ってくるから」
なんて、よく言ってましたね。
でも、特別に時間がかかる時もあります。
昼間に故障が発生して、原因が完全に解決していない時とか。そんな時は、一つのアトラクションにかかりっきり。
僕らが朝、出勤した頃に、ようやく作業を終えたメンテさんが去っていく、なんて時もありましたね。
夜通し整備を続けるメンテさんは、まさに舞台裏でステージを支える裏方さんです。
101は、キャストの日頃の行いだけでは対応できない
101は日頃の業務とは別の対応力が求められる。
日常業務なんて、数ヶ月もやれば一通り習得できるんですね。でも、まさに非常時の対応は、経験しないとできない。ところが、めったに起きない。
スプラッシュのオープンしたばっかりの頃を除けば、そんなに頻繁に起きるものじゃないんです。
知識だけしかない状態で、いざ101が発生すると、みんなパニックになります。
ゲストが一番混乱していると思うけど、実はキャストも大混乱している。
正直言うと、実に面白い(笑)。
誤解のないように言うと、止まったからじゃなく、日頃とは異なる状況になって頑張らなきゃ、って気合が入るんです。
よしきた、バッチリやってやるぞ、って。
過去に何度も失敗して上手にこなせていなかった対応を、今度はきっちりやってやるっていう。いわば、敗者復活戦のような気分になるんですよね。
ちょっとここらは、キャストでないと理解できない感覚なんですが。
もしかして、これってオープニングキャストだけの感覚かもしれないな。
時々、アトラクションが生き物のように感じられる
はるか昔、スプラッシュ・マウンテンがオープンした頃。毎日のようにアトラクションが止まっていたんですね。
それは、システムがまだ安定していない時期だったからです。
加えて、安全装置の作動する基準も厳格だったから、少しの異常が発生しても安全装置が作動していたんです。
オープンして1年がたち2年が過ぎる頃にはシステムも安定し、さらに停止の基準も緩和されて、ようやく安定するようになりました。
長くアトラクションを眺めていると、なんだか生き物みたいに感じることがあるんですよね。
最初はぎこちない姿だったのが、徐々に慣れてきてバリバリ動くようになる。
かと思うと、時々ある部分が集中的に調子が悪くなり、何度も止まったりする。同じ場所の部品が繰り返し破損したりエラーを起こして停止する。
不思議な感覚です。
あるいは、リハブが終わり、通常運営が再開すると、直後に止まる。
リハブ明けって、システムが不安定になってよく止まるんです。復活したばかりなのに(笑)。
そういう奇妙な感覚や不思議な現象が起こるのが、アトラクションなんです。
面白くも恐ろしく、また愛おしいのがアトラクションかな。
というわけで、今回はこのへんで。
またお会いしましょう〜!