キャストの常識「毎日が初演」の本当の意味を解説します

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階段の前に立つ幼児
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みなさんこんにちはー。
あっくんさんです。

今回は、キャスト経験のある方なら誰でも聞いたことのある言葉、「毎日が初演」についてお話したいと思います。
またまた真面目なお話です。

毎日が初演。

この言葉、研修などで必ず耳にしたことがあると思います。おそらく入社式の日の研修、ディズニー・ユニバーシティのときに教えてもらいましたよね。

今回はちょっとキャストのお仕事についてお話してみたいと思います。

それでは出発ぅでえーーーっす!

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毎日が初演とは、キャストデビュー初日の新鮮な気持ちを表現した言葉

キャスト経験のない方に「毎日が初演」が何かを説明すると、

「初めてオンステージに立った時の、新鮮な気持ちを忘れずに」

という意味の言葉です。

キャストとしてデビューして日々お仕事を続けていると、徐々に勤務に慣れてきます。
それ自体はけっこうなことなんですが、同時に「飽きて」きます。毎日同じ作業をしていれば、遅かれ早かれ慣れるのは自然なこと。

飽きてくると、それまで一生懸命やっていたことが、だんだん面倒になってきます。
そして、楽にやろうとしたり、手を抜いてしまうんですね。しまいには流れ作業になってしまう。

そんな新人さんを脱出したばかりの成長段階にあるキャストへ向けた、戒めの言葉なんです。

たとえば、ゲストに道を教える時としましょう。最初のうちは一生懸命にゲストへ説明しますよね。
でも、毎日毎日同じ質問をされているうちに、あー面倒くさいな〜と思ってしまい、だんだん説明が手短になってきます。

「そのレストランは、まずこの道をまっすぐ進みますと広い場所に出ます。右側にレンガの壁が見えてきますので壁に沿って右に曲がって下さい。そうしますと見えてくるのが○○レストランです」

などと説明していたのが、

「あーそれはですね、この道を進んでから右に曲がると見えてきますよ」

でおしまい。まあ簡潔に分かりやすく説明できているならけっこうなことですけど、明らかに手間を省くようになるんですよね(笑)。
しまいには、

「あちらに進んで右側です」
で終わらせるとか。

飽きるだけならまだしも、緊張感が抜けて集中力が散漫になってしまうと、危険な状況も起こりえます。安全確認がおろそかになってしまったりすると、大変な事故につながりかねません。
そんな、仕事に飽きてきたキャストに対して警告する言葉が、この「毎日が初演」なんです。
「あなたが初めてオンステージに立った時の、あの新鮮な気持ちを忘れちゃ駄目ですよ」という警鐘を鳴らす言葉です。

でも経験を積んでいくと、
「デビューの日なんてかなり前のことだし、どんな気持ちだったかなんて覚えてないなぁー」
っていうのが正直なところです。

だって、いくら新鮮な気持ちを思い出せって言っても、もうすっかり仕事に慣れちゃってるし、新鮮な気持ちに戻れるわけがないんですよね。
人は慣れることでスキルアップ・レベルアップするんですから。毎日初演な気持ちを思い出せる人って、言い替えれば「全然進歩してない人」ってことじゃないですか。

だから、そんなの実際は無理なんです。

毎日が初演は、「飽き」との戦いへ踏み出す前の準備運動

僕も現役中は、飽きとの戦いは永遠のテーマであり、永遠になくなることのない課題だな、と思っていました。
マークトウェイン号からスプラッシュ・マウンテンへ異動してきた時、最初こそ新しいアトラクションの仕事が新鮮だったんですけど、そんな気分もほどなく消えてしまいました。

1ヶ月もたつと、あー何だか飽きてきたな、と感じてしまい……。
新しくスタートしたエキサイティングな新アトラクションであっても、たった一ヶ月しか新鮮さが続かなかったんです(笑)。実際、そんなものですよ。

毎日同じことを繰り返していると、あーまた今日も同じ仕事か〜、となってくる。
その後、よく十年以上も続けていられたなって感じですよね。(笑)

「慣れ」と「飽き」との戦いは実に手強い。

でも実は、克服できない病というわけではありません。
心の持ちようなんです。

僕は現役中にずっと考えていたんですよ、毎日が初演って何だろうって。

で、出た結論が、
その人に与えられた、「飽きと退屈との戦いの”魔窟”へ入る前の準備運動」じゃないかって。
魔窟っていうと大げさだけど、まあ戦いですよね。己との戦い。

どんな仕事にも、慣れれば飽きがやってくる。飽きれば油断が襲ってくる。退屈は絶対に避けることのできない通過点だ。

どうせやって来るなら、突入してから慌てて対処するより、その前に備えておくのがベストだ。でもそううまくは行かない。やっぱり飽きてから「これは何とかしなきゃな」って思うもの。

じゃあどうすればいいのか。

それを次で説明してみます。

慣れ過ぎて飽きたキャストへの処方箋は、レベルアップすること

「毎日が初演」は実に大切な考え方です。
しかしそうは言っても飽きちゃたものは飽きたんだから仕方ない。

飽きるより怖いのが「今のままで進歩しなくなる」ことです。もう上達する必要もない、毎日同じことを続けていればそれでいいんだ、と考えてしまう方が遥かに怖いな、と思っていました。

どんな仕事にせよ、向上する気持ちをなくしたら現状維持どころか後退しますからね。

中にはそのままでいいや、と軽く考えて日々安穏と勤務に勤しむ方もいましたけど(多くの人がそうだったかな)。

一通りマスターしたらそれ以上頑張る必要ないでしょ、と思う人はそこで進歩を止めます。
僕はそういう人を否定はしません。たかがバイトなので、そこそこの時給をもらえれば満足という人はそれでいいと思います。
でもその状態って、ますます日々同じ仕事を続けるのが苦痛になりませんか?

時間が過ぎるのを待つだけ、早く仕事終わらないかな…、と思いながらする仕事って、つまらないですよね。

だから、退屈さから逃れることが、新鮮な気分を維持するには必須なんです。

そこで、僕がやっていた対処法をいくつかお話しましょう。

退屈さを克服する方法1:自分の中でスキルアップを図る

なぜ同じ作業を繰り返すと飽きるのか。それを追求していくと、同じだからなわけですよね。当たり前っちゃあ当たり前。じゃあ、同じじゃなければいいんです。

でもどの作業も決められた手順で正しく行うように定められている。変えるわけにはいきません。どうするのか?
同じ作業でも、より丁寧にやるとか、より高クオリティを目指せばいいんです。

あなたはたぶん、最初に習ったやり方を、そのまま(レベルを上げずに)行っていると思います。最初というのは、新人として初めて習った時のやり方です。

意識しない限り、そして先輩から修正させられない限り、人は最初に習った方法をそのままやり続けます。でもそれは、何も知らない時点での、それこそ必死に叩き込んだ「慣れない」時のやり方なんです。

だから、おそらくほとんどの場合、それは慣れていない頃のぎこちない手法がちょっとマシになってスムーズになっただけのレベルなんですよ。
もっと、もっと丁寧なやり方があるはずです。
それを自ら自己分析し、問題点をあぶり出して、改善していく。それだけでもかなり高いハードルですし、やりがいがありすぎて退屈なんて言ってる暇もないほど必死になれます。

ならないって? それは自己分析が足らない証拠ですよ!

退屈さを克服する方法2:いつもと違うやり方を試す

例えばスピールの内容を、手順に影響がない程度に、順番を変えてみます。
僕が所属していたスプラッシュ・マウンテンだと、屋外で言うスピールの中に、スクリーニングスピールというのがあります。利用規定を説明します。

「心臓・血圧に支障のある方、首・脊髄に障害をお持ちの方、現在ご妊娠中の方、規定の身長に満たない方、3歳未満の方(今は廃止された規定ですね)はご利用をご遠慮いただいております」

ある日、この順番を、突然思いつきで入れ替えてみたんです。

完全に慣れ切っているものを突然変更するので、いつものスムーズさが失われて軽く言語障害になります(笑)。あれ言ったっけ?これはまだだっけ? と瞬間的にわけが分からなくなって突然喋れなくなります。

あまりにも不審な状態になるので、たまにしかやりませんでしたが(笑)。まあ刺激にはなります。習慣化されたことを突然変えるのは、とてもリスキーであり刺激的です。

一例ですが、こんな感じで『普段の状態』から外れた何かを追加してみるんです。

自分の中の、何かが変わりますよ。
意識して変えていかないと、きっとどこかで袋小路に突き当たってしまい、行き止まり感を覚えるかもしれません。
そして耐えられなくなって、辞める。まあそれでもいいと思いますが。
ただ、どうせなら飽きとの戦いにも勝ちましょうよ。

僕は前述の通り、すぐに慣れて飽きてしまい、この先どうするか悩んでいました。リードからは大して評価されていないし、飽きたし、やる気のない先輩はいるし、もうかなり投げやりな感じだった。そもそもスプラッシュに異動を願い出たのもマークトウェイン号での勤務が退屈になったからでした。だから勤務内容に飽きたら、その場を離れる時ということを意味していました。

ところがスプラッシュでは結果的に、退屈との対決を続けていたんですよね。
もちろん他の多くのアトラクションと比較すると、より飽きにくい環境ではありましたが。

そこで投げ出さずに続けたことに、何か意味を見い出したような気がします。

飽きて耐えられなくなって、それを解消する方法を見つけ出し、またしばらくして飽きが限界まで積もり、それを解消する道を探り……。これを何度も何度も繰り返していました。

だから言える。
慣れとの戦いの秘訣は、勝たないまでも、負けない方法を見つけておくことだ、と。それが次の道への活路を開いてくれる。
漠然とした結論ですが。

慣れとの戦いを今まさに繰り広げている方なら、分かってくれるかな。
感覚的にでも分かってくれたら、それで十分です。

おっと、また真面目なお話をしてしまった……
いかんな、もっとふざけないと!(笑)

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あっくんさん

あっくんさん

元TDLにてアトラクションキャスト勤務を経験した十数年間を回想する場。このブログはそんな僕の、やすらぎの郷でございます(笑)。

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