深夜勤務は夜のアトラクションを覗く絶好の機会

5 min
暗闇の中のランタン
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みなさんこんにちはー!
あっくんさんですっ。

今回も、かなり珍しい体験をした時のお話をします。
しかもほとんどのキャストがしたことのない、特殊な勤務についてです。

ディズニーのパークは通常、朝から夜まで長時間運営しています。

先日、ようやく待ちに待った運営再開日が発表されましたね!
いよいよパークも動き出したようで、おめでたい限りですねー。

と、それはさておいて(笑)

キャストの中には、メンテさんやナイトカストーディアルさんなどのように、閉園してから勤務が始まるキャストもいます。
アトラクションキャストは当たり前ですが、開園前〜閉園後までが勤務時間帯です。

ところが!
ごくごくたまーに、アトラクションキャストでも深夜勤務があるんですね。

え、大晦日の話だろって?
いえいえ、違います。ごく普通の日の夜にあったりします。

今回は、そんな珍しいお仕事のお話です。

それではみなさん、行ってらっしゃーい!

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深夜にアトラクションを動かす時、それは撮影があるとき

もちろん、夜中にお客さんがやってくるわけではありませんよ。
実は、その勤務とは。

撮影のためなのです!

オリエンタルランド社が、アトラクションの広報用の資料映像を撮影することがありまして。
よく公式サイトなどを見ると、こういう映像がありますよね。

これこれ、こういう映像をよく見かけるでしょ。
この、みょ〜にウソくさい映像(笑)。

さわやか過ぎてインチキっぽい(何がインチキかと聞かれると困るけど)。
お前ら絶対本物の家族じゃねーだろ、っていう偽り感満載の(笑)

これ、モデルさん達が実際に乗り込んで撮影しているわけです。
スプラッシュ山の外観は昼間に撮影できますけど、内部のシーンは日中、ゲストが遊んでいるので撮影できません。
じゃあいつ撮るか?

そう、夜中しか時間が取れないんですね。そこで、深夜に撮影を行います。

実際に乗っているシーンを撮るなら、アトラクションを動かす必要があります。
当然、アトラクションを動かすには、運営部のキャストがいないと動かせない。
そこで、僕らの出番なわけです。

昔々。
スプラッシュが始まった直後か一月くらい後。
ある日、深夜勤務の人がいることに気づきました。スケジュール表を見ると、3人ほどのシフトが22:45〜とかになっている。

当人に聞いてみると、
「あー、なんか深夜に撮影をするらしいよ」と。
勤務終了は朝方、早番キャストが来る前の早朝。

残念ながら、僕はこの時は勤務できませんでした。

えーなんか面白そうだなと思い、リードに聞いてみると、
「車で来られる人限定の勤務なんだ」
とのこと。当時の僕は車も免許も持っていなかったので対象外。
ちぇっ、残念。

当日、僕は遅番だったんですが、勤務が終了する少し前に、彼ら3人が出勤してきました。
なんか面白そうだなーと思いつつ、僕は退勤しました。

翌日、彼らに聞いてみると、
「眠かった」の一言で終わり。他に感想はないんか!(笑)
って感じでしたが、暇だったそうな。

それから何年かが過ぎて。

再び同じような撮影が行われる時がやってきました。
今回は、なんと僕に勤務の打診が!
っていうか、リードから、

「今度撮影が入るんだけど、深夜勤務、入れていい?」
と聞かれ。
「あ、はい、いいですけど」
と答え。

ヤッター!
というわけで、実現した次第です。

動かすボートはたった2台、戻ってきたら再び乗り込むモデルさんたち

当日夜。
遅番のみんなが帰っていく中、僕をはじめ3名(全員トレーナーだったかな?忘れた……)が出勤。

乗り場に集まった僕らは、リードと共に、片隅で待機します。

しばらくすると、数名の関係者が現れました。
撮影スタッフとおぼしきグループが機材を運び込んできたのです。

そして、一緒に登場したのがモデルさん達。
みんな、いかにも撮影にふさわしい感じかする、整った人達でした(笑)。
異常に整った感じの、ステキ過ぎるグループ(笑)。

見た目だけで、一般ゲストとは一線を画した雰囲気を醸し出しています。さすがモデルさん。

割とのんびりした雰囲気の中、打ち合わせが始まりました。

一方僕らも、簡単に今夜の流れをリードから説明されます。いや、説明する内容なんか何もなし。
もちろん、撮影チームとは別。
彼らは彼らで、こっちはこっちで。

ボート台数も確か2台とかで動かしたはず。モデルさん達が乗るボートさえあれば十分なので、他のボートは全て格納庫に入れてしまうのです。

指示が来たらボートを出す、帰ってくるまで動かす、な感じ。
少しして、最初の撮影が始まりました。

モデルさん達はボート1台分、8名。
乗り場に待機するボートに彼らが乗り込むと、スタッフが声をかけてくれる。

「じゃあ、お願いします」
というわけで、ボートは出発。

僕ら3人は、ポジションにつきます。
ジャンケンで乗り場、降り場、タワー(管制室)へ。
僕は降り場になりました。
普段は立っているポジションですが、この時はゲストもいないので、僕は折りたたみイスを持ってきて、座りながら操作します。

乗り場で出発すると、僕のところへも連絡が来て。あとは帰ってくるのを待つわけです。
出発したボートが帰ってくるまで、他のボートはなし。
何もない、ただの水路を水が流れているという寂しい状態です。

10分ほど経つと、モデルさん達のボートが帰ってきました。

静かに到着。
なんだか楽しそう。
中には、イェーイとか言ってる女性モデルもいるし(笑)

大人も子供もいる。
こんな夜遅くに、家族連れやカップルが盛り上がってるなんて、不思議な空気感。

乗り場での撮影はなく、内部で乗船中の彼らを撮るようです。
一度乗り終わって帰ってくると、すぐ乗り場へ戻って再度乗り込む。そして出発させます。

2〜3回繰り返した後、しばらく休憩になりました。
僕らもボートを停止させ、待機状態に入りました。でもいつ撮影が再開するか分からないので、その場を離れるわけにもいかず、じっと待機。

1時間くらいして、再びボートを動かし始める。

こんな感じでしたね。

深夜は、日中勤務キャストの知らない別世界だった

その後、撮影チームから連絡が来たらしく。
リードから、しばらくは乗らないらしいから俺たちも休憩しよう、と連絡が。
僕らは食事休憩に。

社員食堂に行くと、簡単な食事が提供されていた。
こんな真夜中に開いていたんだ、とびっくり。

そりゃそうだ。深夜勤務のキャストがいるんだから、食堂が開いていても当然なんですよね。普段こんな時間帯に来ないから……。
食堂には、まばらにメンテ服を着たキャスト達がいて、食事を取っていた。

深夜1時。
乗り場にいた僕は、撮影スタッフが戻ってくるのを待っていた。だが来ない。
ひたすら、待つ。

時々、乗り場の天井の方から、何かの音が聞こえてくる。

ガ〜〜〜〜、と機械の音?
何かの作業をしているんだろうけど、何をしているかは不明。

深夜1時半。

再び降り場についた僕は、ヒマ&眠気と闘いながら待機する。
イスに座っていたので気づかなかったが、近くで人の気配がする。

ふと頭を上げて見ると、ナイトカストーディアルのおばちゃん達がいつの間にか、そこにいた。

ナイトカストーディアルとは、深夜にお掃除をするキャストですね。
彼女たちがいつの間にかやって来ていて、作業をしている。ガ〜〜〜〜っと。
あ、あの音か。

床に掃除機をかけているんですよ。

……掃除機!
この床って、掃除機をかけていたんだ

そのおばちゃん(女性キャスト)は、掃除機をかけながら、ホースの先を床に当てて、細かいゴミを吸引している。
実に丁寧に。
時々掃除機を止めて、床にこびりついたガムを、ヘラですくい取っている。

アトラクション内の床は、けっこうガムがあちこちに付着しています。
もちろん館内は飲食禁止ですが、それでもガムはけっこう噛む人が多く、かみ終わったガムを捨てて行くんでしょうね。へばりついたガムは、靴に踏まれて固まって、なかなか取れないんです。

しかもスプラッシュの館内の床は、デザイン上ボコボコしていて平らじゃないので、余計にこびり付きやすい。

僕ら運営部のキャストも普段、張り付いたガムを見つけたら、備品のヘラで取ろうと頑張るんですけど。
なかなか完全には取れない。

降り場の手すりの間の床にしゃがみ込んだおばちゃんが、丁寧にガムを取っているのを見ながら。
僕は、やたらと感動していた。

こうやってパークは清潔に保たれているんだな、と。
改めて実感。
しかも、こんな深夜に……。

なんか僕、妙にウルウルしていたんですよね、その時。

真夜中に、僕が一人で感動していた理由

(こんな感じの掃除機でお掃除していたおばちゃん達を見ました)

アトラクションのキャストと言ったら、僕ら運営部のキャストだ。

でも、遊びに来るゲスト達が知らない、絶対に見ることのないキャスト達が、こうやって支えてくれているんだなと思ったら。
ありがたいな、という気持ちでいっぱいになっちゃった。

僕らはスプラッシュマウンテンの代表というか、「表向き」の担当じゃないですか。でもクオリティを高く保っている施設も、裏方さんがいてこそ成立しているわけで。

お掃除だけではなく、整備するのもメンテさんが一晩中動き回っている。
そうやって、日々、維持されているんだと。その代表みたいな立場で、僕らアトラクションのキャストがゲストと対面している。

遊びに来たら、入口や施設内にいるキャストとだけ、接しますよね。
でも、裏にもたくさんの人達がいて、自分の仕事をこなしている。
そんな彼らの代表みたいな立場にいる、僕ら。

俺たち、昼間に下手な仕事、できないぜって。

午前3時過ぎ。
どうやら撮影はもう行われない、と連絡が来て、今回のお仕事はおしまい。
僕らも勤務終了となりました。

長くなりました。
パークが再開したら、隅々まできれいになっている屋外、屋内を見てあげて下さい。

必ずその場所を、きれいに掃除している人がいます。
その人は、今日も(今夜も)やっている。

それが、今日のパークをかたちづくっているんです。

ていうか、撮影の話はどこ行った?(笑)

というわけで、今回はこの辺にします。
それではみなさん、さようならっ。

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あっくんさん

あっくんさん

元TDLにてアトラクションキャスト勤務を経験した十数年間を回想する場。このブログはそんな僕の、やすらぎの郷でございます(笑)。

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