みなさんこんにちはー!
あっくんさんですっ。
今回も、かなり珍しい体験をした時のお話をします。
しかもほとんどのキャストがしたことのない、特殊な勤務についてです。
ディズニーのパークは通常、朝から夜まで長時間運営しています。
先日、ようやく待ちに待った運営再開日が発表されましたね!
いよいよパークも動き出したようで、おめでたい限りですねー。
と、それはさておいて(笑)
キャストの中には、メンテさんやナイトカストーディアルさんなどのように、閉園してから勤務が始まるキャストもいます。
アトラクションキャストは当たり前ですが、開園前〜閉園後までが勤務時間帯です。
ところが!
ごくごくたまーに、アトラクションキャストでも深夜勤務があるんですね。
え、大晦日の話だろって?
いえいえ、違います。ごく普通の日の夜にあったりします。
今回は、そんな珍しいお仕事のお話です。
それではみなさん、行ってらっしゃーい!
目次
深夜にアトラクションを動かす時、それは撮影があるとき
もちろん、夜中にお客さんがやってくるわけではありませんよ。
実は、その勤務とは。
撮影のためなのです!
オリエンタルランド社が、アトラクションの広報用の資料映像を撮影することがありまして。
よく公式サイトなどを見ると、こういう映像がありますよね。
これこれ、こういう映像をよく見かけるでしょ。
この、みょ〜にウソくさい映像(笑)。
さわやか過ぎてインチキっぽい(何がインチキかと聞かれると困るけど)。
お前ら絶対本物の家族じゃねーだろ、っていう偽り感満載の(笑)
これ、モデルさん達が実際に乗り込んで撮影しているわけです。
スプラッシュ山の外観は昼間に撮影できますけど、内部のシーンは日中、ゲストが遊んでいるので撮影できません。
じゃあいつ撮るか?
そう、夜中しか時間が取れないんですね。そこで、深夜に撮影を行います。
実際に乗っているシーンを撮るなら、アトラクションを動かす必要があります。
当然、アトラクションを動かすには、運営部のキャストがいないと動かせない。
そこで、僕らの出番なわけです。
★
昔々。
スプラッシュが始まった直後か一月くらい後。
ある日、深夜勤務の人がいることに気づきました。スケジュール表を見ると、3人ほどのシフトが22:45〜とかになっている。
当人に聞いてみると、
「あー、なんか深夜に撮影をするらしいよ」と。
勤務終了は朝方、早番キャストが来る前の早朝。
残念ながら、僕はこの時は勤務できませんでした。
えーなんか面白そうだなと思い、リードに聞いてみると、
「車で来られる人限定の勤務なんだ」
とのこと。当時の僕は車も免許も持っていなかったので対象外。
ちぇっ、残念。
当日、僕は遅番だったんですが、勤務が終了する少し前に、彼ら3人が出勤してきました。
なんか面白そうだなーと思いつつ、僕は退勤しました。
翌日、彼らに聞いてみると、
「眠かった」の一言で終わり。他に感想はないんか!(笑)
って感じでしたが、暇だったそうな。
★
それから何年かが過ぎて。
再び同じような撮影が行われる時がやってきました。
今回は、なんと僕に勤務の打診が!
っていうか、リードから、
「今度撮影が入るんだけど、深夜勤務、入れていい?」
と聞かれ。
「あ、はい、いいですけど」
と答え。
ヤッター!
というわけで、実現した次第です。
動かすボートはたった2台、戻ってきたら再び乗り込むモデルさんたち
当日夜。
遅番のみんなが帰っていく中、僕をはじめ3名(全員トレーナーだったかな?忘れた……)が出勤。
乗り場に集まった僕らは、リードと共に、片隅で待機します。
しばらくすると、数名の関係者が現れました。
撮影スタッフとおぼしきグループが機材を運び込んできたのです。
そして、一緒に登場したのがモデルさん達。
みんな、いかにも撮影にふさわしい感じかする、整った人達でした(笑)。
異常に整った感じの、ステキ過ぎるグループ(笑)。
見た目だけで、一般ゲストとは一線を画した雰囲気を醸し出しています。さすがモデルさん。
割とのんびりした雰囲気の中、打ち合わせが始まりました。
一方僕らも、簡単に今夜の流れをリードから説明されます。いや、説明する内容なんか何もなし。
もちろん、撮影チームとは別。
彼らは彼らで、こっちはこっちで。
ボート台数も確か2台とかで動かしたはず。モデルさん達が乗るボートさえあれば十分なので、他のボートは全て格納庫に入れてしまうのです。
指示が来たらボートを出す、帰ってくるまで動かす、な感じ。
少しして、最初の撮影が始まりました。
モデルさん達はボート1台分、8名。
乗り場に待機するボートに彼らが乗り込むと、スタッフが声をかけてくれる。
「じゃあ、お願いします」
というわけで、ボートは出発。
僕ら3人は、ポジションにつきます。
ジャンケンで乗り場、降り場、タワー(管制室)へ。
僕は降り場になりました。
普段は立っているポジションですが、この時はゲストもいないので、僕は折りたたみイスを持ってきて、座りながら操作します。
★
乗り場で出発すると、僕のところへも連絡が来て。あとは帰ってくるのを待つわけです。
出発したボートが帰ってくるまで、他のボートはなし。
何もない、ただの水路を水が流れているという寂しい状態です。
10分ほど経つと、モデルさん達のボートが帰ってきました。
静かに到着。
なんだか楽しそう。
中には、イェーイとか言ってる女性モデルもいるし(笑)
大人も子供もいる。
こんな夜遅くに、家族連れやカップルが盛り上がってるなんて、不思議な空気感。
乗り場での撮影はなく、内部で乗船中の彼らを撮るようです。
一度乗り終わって帰ってくると、すぐ乗り場へ戻って再度乗り込む。そして出発させます。
2〜3回繰り返した後、しばらく休憩になりました。
僕らもボートを停止させ、待機状態に入りました。でもいつ撮影が再開するか分からないので、その場を離れるわけにもいかず、じっと待機。
1時間くらいして、再びボートを動かし始める。
こんな感じでしたね。
深夜は、日中勤務キャストの知らない別世界だった
その後、撮影チームから連絡が来たらしく。
リードから、しばらくは乗らないらしいから俺たちも休憩しよう、と連絡が。
僕らは食事休憩に。
社員食堂に行くと、簡単な食事が提供されていた。
こんな真夜中に開いていたんだ、とびっくり。
そりゃそうだ。深夜勤務のキャストがいるんだから、食堂が開いていても当然なんですよね。普段こんな時間帯に来ないから……。
食堂には、まばらにメンテ服を着たキャスト達がいて、食事を取っていた。
★
深夜1時。
乗り場にいた僕は、撮影スタッフが戻ってくるのを待っていた。だが来ない。
ひたすら、待つ。
時々、乗り場の天井の方から、何かの音が聞こえてくる。
ガ〜〜〜〜、と機械の音?
何かの作業をしているんだろうけど、何をしているかは不明。
★
深夜1時半。
再び降り場についた僕は、ヒマ&眠気と闘いながら待機する。
イスに座っていたので気づかなかったが、近くで人の気配がする。
ふと頭を上げて見ると、ナイトカストーディアルのおばちゃん達がいつの間にか、そこにいた。
ナイトカストーディアルとは、深夜にお掃除をするキャストですね。
彼女たちがいつの間にかやって来ていて、作業をしている。ガ〜〜〜〜っと。
あ、あの音か。
床に掃除機をかけているんですよ。
……掃除機!
この床って、掃除機をかけていたんだ!
そのおばちゃん(女性キャスト)は、掃除機をかけながら、ホースの先を床に当てて、細かいゴミを吸引している。
実に丁寧に。
時々掃除機を止めて、床にこびりついたガムを、ヘラですくい取っている。
アトラクション内の床は、けっこうガムがあちこちに付着しています。
もちろん館内は飲食禁止ですが、それでもガムはけっこう噛む人が多く、かみ終わったガムを捨てて行くんでしょうね。へばりついたガムは、靴に踏まれて固まって、なかなか取れないんです。
しかもスプラッシュの館内の床は、デザイン上ボコボコしていて平らじゃないので、余計にこびり付きやすい。
僕ら運営部のキャストも普段、張り付いたガムを見つけたら、備品のヘラで取ろうと頑張るんですけど。
なかなか完全には取れない。
降り場の手すりの間の床にしゃがみ込んだおばちゃんが、丁寧にガムを取っているのを見ながら。
僕は、やたらと感動していた。
こうやってパークは清潔に保たれているんだな、と。
改めて実感。
しかも、こんな深夜に……。
なんか僕、妙にウルウルしていたんですよね、その時。
真夜中に、僕が一人で感動していた理由
アトラクションのキャストと言ったら、僕ら運営部のキャストだ。
でも、遊びに来るゲスト達が知らない、絶対に見ることのないキャスト達が、こうやって支えてくれているんだなと思ったら。
ありがたいな、という気持ちでいっぱいになっちゃった。
僕らはスプラッシュマウンテンの代表というか、「表向き」の担当じゃないですか。でもクオリティを高く保っている施設も、裏方さんがいてこそ成立しているわけで。
お掃除だけではなく、整備するのもメンテさんが一晩中動き回っている。
そうやって、日々、維持されているんだと。その代表みたいな立場で、僕らアトラクションのキャストがゲストと対面している。
遊びに来たら、入口や施設内にいるキャストとだけ、接しますよね。
でも、裏にもたくさんの人達がいて、自分の仕事をこなしている。
そんな彼らの代表みたいな立場にいる、僕ら。
俺たち、昼間に下手な仕事、できないぜって。
★
午前3時過ぎ。
どうやら撮影はもう行われない、と連絡が来て、今回のお仕事はおしまい。
僕らも勤務終了となりました。
長くなりました。
パークが再開したら、隅々まできれいになっている屋外、屋内を見てあげて下さい。
必ずその場所を、きれいに掃除している人がいます。
その人は、今日も(今夜も)やっている。
それが、今日のパークをかたちづくっているんです。
ていうか、撮影の話はどこ行った?(笑)
というわけで、今回はこの辺にします。
それではみなさん、さようならっ。