みなさんこんにちはー!
あっくんさんです。
今回は、キャストがどこまで勝手に動けるかについてお話しましょう。と言っても、勤務中に好き勝手に動けないのは当然のこと。
オンステージで働くキャストはみんなコスチュームを着ています。コスチュームは、それぞれのエリアに合わせたデザインになっています。ウエスタンランドは西部開拓時代のアメリカをイメージした場所です。そこで勤務するキャストは、19世紀のアメリカにふさわしいコスチュームを着ています。
従って、違うエリアに入ってしまうと明らかに違和感があります。
トゥモローランドのキャストがアドベンチャーランドにいたら、変ですよね。周りから浮いてしまいます。
しかーし!
そうは言っても緊急事態が起きたらやむを得ず別のエリアに行く、と言うことはなくもないわけで。
ではどんな時に違うエリアへ入って行くのか、というお話です。
それではみなさん出発です。いってらっしゃーい!
目次
キャストの行動範囲は各テーマランド限定だが、管轄内は比較的ゆるい
TDLのテーマランドは現在、7つに分かれています。
正面手前から時計回りに、
ワールドバザール
アドベンチャーランド
ウエスタンランド
クリッターカントリー
ファンタジーランド
トゥーンタウン
(美女と野獣エリア……あれ? 公式サイト上では、まだテーマランドとして扱われていませんね。サイトの更新がまだ追いついていないのか、テーマランドとして認定されていないのか?)
トゥモローランド
以上、7つのテーマランドがあります。
アトラクションに限って言うと、社内の管轄は3つに分かれています(今も同じでしょう)。
白:ワールドバザール
黄:アドベンチャー/ウエスタン(クリッター)
青:ファンタジー(トゥーン)/トゥモロー
比較的近いエリアでまとまっています。キャストの人材交流もこの管轄内で活発に行われています(した)。なので、この同じ管轄であれば、割と普段から行ったり来たりしていました。
ファンタジーとトゥモローが同じって無理がありますが、まあそこらへんは鷹揚に。
パークのデザイン上のテーマランドはあるけど、社内の都合によって勝手にエリア区分がされていて、その中であれば割とゆるいところはあるんですね。
何だか自分たちに都合のいいように解釈してるなー、と言う感じはします。しかしまあ、業務上あんまりルールに厳格だと動きにくいし、そもそもゲストサービス上それを守りすぎると融通がきかなくて不親切になりますよ。
他のエリアに行くってどんな用事があるのか?
日常の業務で、キャストが別エリアに行くことってほぼないんですが、ただ行くことがあるとすれば、
(出退勤のとき)
(食事休憩のとき)
傷病人を中央救護室へエスコートするとき
遺失物を至急で遺失物センターへ届けるとき
迷子を迷子センターへ連れて行くとき
くらいでしょうか。
出退勤に関しては、僕がマークトウェイン号の時代には許されていたんですが、途中から禁止になりました。なのでNGですね。
食事休憩のときも、93〜94年くらいにはやはり禁止になりました。それまではけっこう平気で横断していたんですけど。
表を通れないとなると、裏側を移動するんですが、従業員食堂までがけっこう遠いんですよ。
そのおかげで、食事休憩の時間をかなり削られてしまい、ろくに食事も取れない部署もありますからね……。
(移動に時間がかかるので、食堂へ行くのを諦めてしまうのです。で、簡単な軽食程度で済ませる)
パークの地図を見てみましょう。
中央救護室や遺失物センターへ行くときは、大体このライン上に沿って、移動していましたね。
このルートなら、比較的コスチュームに違和感がないエリアを抜けることができます。
迷子センターはワールドバザールの右側にあるので、左側(アドベンチャーランド側)からだと、ワールドバザールの真ん中の道を通り抜けてトゥモロー側へ、ですね。
こういう、ちょっと特別な場所へ行くのは、なかなか楽しいです。
ただし、中央救護室だと、急ぎ目で行かないといけません。だって具合の悪い方や怪我人をお連れしているわけですから。最短距離はどっちの道だろうか、と考えながら行動します。
混雑日だと、アドベンチャーランドから行くと道が混んでいてなかなか通れないだろうな、と予想できます。なので思い切ってお城の前の広場を通過するルートを選んだり。広場(プラザ)ならパレードルートができていて、混雑はしていますが、通り道はちゃんとあるのでその方が早いというわけ。
だからといって、ウエスタンランドからファンタジーランド〜トゥモローランドまで遠回りするのはNGですけどね(笑)
抜き差しならない状況のとき、別エリアのキャスト達が集結する
ここまでは、通常業務内で、ちょっとイレギュラーな対応を行うときのお話でした。
では、通常じゃないときってあるの? って思いますよね。
もちろん、ありまぁ〜す!
たとえば。
スプラッシュ・マウンテンがオープンした初日の朝とか。
とにかく手の空いている人はみんな手伝え!って感じで、あらゆるロケーションのキャスト(の責任者)が集まってきて、様子を見つつ、手伝えるところは手伝ってもらいました。
ファンタジーランドやトゥモローランドの人達がクリッターカントリーまでやってきて、手伝ってくれたんですね。さすがに館内までは入ってこず、周辺に待機してもらってゲスト対応をヘルプしてもらいました。
あと、僕が印象に残っているのは、2004年秋のホーンテッド・マンションだったかな。
ハロウィンの季節、ナイトメア・バージョンの初めての年です。
始まってしばらくしたある日。
ホーンテッド・マンションがダウンしてしまいました。けっこう長い時間止まっていて、ようやく復旧したんですが、ものすごい勢いでゲストがたっくさんやってきたわけですね。
ファストパスのゲストも大勢押し寄せてきて、収集がつかなくなりました。
ファストパスの列も、スタンバイの列も、延々と果てしなく伸びるわ伸びるわ。
ホーンテッド・マンションの前の広い場所に、列を伸ばして折り返して、また伸ばして折り返して。
全部で4往復くらい列を曲げて伸ばしていました。キューエリアのロープもない状態で(設置する余裕がないほどすさまじい勢いでお客様が押し寄せてきた)、さらに列は伸びていく。
これはヤバイ! と判断した責任者達が、緊急招集をかけました。
全エリアのロケーションへ、手の空いている人はみんな助けに来て〜! と、応援要請をしたわけです。
またたく間に、数十名のキャスト達がやって来ました。
ファンタジーランド、トゥモローランドからも駆けつけます。スターツアーズの人も、スペース・マウンテンの人も。ミステリーツアーのキャストも。
リバー鉄道も、マークトウェイン号もカヌーも。
ジャングルクルーズも、カリブの海賊も。
それどころか、パーク外で勤務しているパーキングのキャストまでもが駆り出されて、手伝いに来てくれました。
ゲストの列もすごかったですが、このメチャクチャな種類のコスチュームが入り乱れていた状況が、とてつもなく愉快でしたね。
キャストもみんながみんな、面白がっていました(笑)
キャストの行動基本原則は「SCSE」に則っている
まず、基本ルールとして、自分の所属エリア以外のテーマランドには行かない(行けない)となっています。ただし絶対行ってはいけない、というわけでもありません。
ここで登場するのが、キャストの行動原則「SCSE」という考え方ですね。
S……Safety(安全性)
C……Courtesy(礼儀正しさ)
S……Show(ショー)
E……Efficiency(効率)
上から優先順位が高いのですね。
「キャストが違うエリアのコスチュームで入ってはいけない」というのは、上の項目でいうと3番目に当たります。つまり、上位2項目に至急で対応が求められるのであれば、ルールにこだわる必要がない、と言う意味なんです。
だから、もし安全性に問題があり、一刻も早く対処しなければならないとき。
そんなときは、コスチュームが違うなんて悠長なことは言ってられないわけです。だから違うエリアのコスチュームであっても入っていく。
SCSEについては、あまりにも基本すぎてあえて說明していませんでしたが、これ、めちゃくちゃ重要だしキャストの業務の隅々にまで浸透する理念なんですよね。
何か問題がある場合や考え方に不明点がある時は、いつもここに戻ってくるんです。
制限されずに動けるのはセキュリティとカストーディアル
最後に。
コスチュームがエリアに限定されていないキャストがいます。
セキュリティキャストと、カストーディアルキャストです。
セキュリティは警備のキャスト、カストーディアルはお掃除のキャストですね。
この2種類のキャストは、パーク内全域に渡って移動できます。どこにいても違和感のないようなコスチュームを着用しています。
もちろん、基本的な担当はありますので、好き勝手に動くわけではありませんが。必要があれば、どこへでも行けるようになっています。
それが好きで、両キャストをやっている人もいるみたいですね。
★
というわけで、今日はこの辺でおしまい。
それではみなさん、さようならー!