すごい。
何がって、例のやつ。
昨年末から話題になっていたZOZOスーツがいよいよ発送開始したみたいですね。
当初のZOZOSUITはこれだったはずだが……
採寸ボディースーツ「ZOZOSUIT」を無料配布します。ZOZOTOWNにて予約開始。一瞬であなたの体型を採寸できます。プライベートブランドでの活用はもちろん、ZOZOTOWNでのお買い物も圧倒的に便利に。川上から川下まで、ボディーデータ利用でファッション産業を新次元に導きます。https://t.co/EBgCdbMWeG pic.twitter.com/8ZVIBSBj6c
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 2017年11月22日
そしてこちらが今回のツイート。
お待たせしました「ZOZOSUIT」が新しくなって順次発送開始!https://t.co/9WPlLZsL5y
— ZOZOTOWN (@zozojp) April 27, 2018
ん、なんか違う(笑)
前澤さんの釈明がありました。
新しいZOZOSUITは、以前のものに比べ、製品仕様が大きく変わりました。体型を計測できることに変わりはありませんが、以前のセンサー内蔵スーツを楽しみにお待ちになられていたお客様を失望させてしまったことは大変申し訳なく思います。(つづく)
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 2018年4月28日
すでに以前のスーツをご予約いただいているお客様には、送料をいただかずに、新しいZOZOSUITを無料でお送りする予定でおりますが、それであればキャンセルされたいというお客様は、キャンセルページをご用意いたしますので、大変お手数ですが、そちらからお手続きいただければと思います。(つづく)
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 2018年4月28日
キャンセルの方法などについては、5月1日にサイト内などで改めてご案内させていただきますので、少々お待ちいただければと思います。この度はご迷惑をおかけし大変申し訳ありませんでした。
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 2018年4月28日
センサー内蔵方式の旧ZOZOSUITについては、私たちも最後まで量産を諦めずに、皆様に少しでも早くお届けできるよう、全力で生産拡大にあたっておりましたが、最終的には皆様の期待に応える量の生産ができず継続を断念いたしました。大変悔しいです。期待されていた皆様本当に申し訳ありませんでした。
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 2018年4月28日
そう、ですか……。
あ、ちなみに僕も注文していました。
確か速攻で注文したわけじゃなく、こんなのタダでもらってもメリットあるかな?と疑問を感じてしばらく眺めていて、タダならいいかと思って注文したので、脊髄反射的に注文した人よりずっと遅かったはず。
案の定、全然音沙汰なしでした。
旧スーツが届いた方が一部にいるみたいだけど、そっちの方が羨ましい!
そもそもこのゾゾスーツ、着用した人の正確なサイズを計測し、自分にぴったりのサイズを注文できるという、カジュアル版オーダーメイドを可能にする革命的なアイテムだった。
本来オーダーメイドは高級注文服(オートクチュール)だけに許されていた注文方式であり、それがカジュアルなTシャツやジーンズのレベルに降りてくるというのはアパレル界に革命を起こしたと言えるくらいインパクトがあったのだよね。
初代ZOZOSUITは伸縮センサーを内蔵したボディスーツで、胸元の機械部分とスマホをBluetooth接続して計測し、データを取得する。計測にはたったの5秒しかかからないようで、これだけは体験してみたかった。
↓
【動画】メディア初公開、話題の”ZOZOSUIT”を着てみた
このスーツを、ZOZOとニュージーランドの企業StretchSense Limited.が共同開発していたが、上のツイートにもあるとおり、電子部品を作ることが難しかったとのこと。
新たに開発された新スーツは、表面のドットをスマホカメラで撮影するという、ある意味先祖返りした技術で採寸するようですね。これじゃあ、CGバリバリの今風SF映画が、一昔前の特撮映画時代に戻ってしまったかのようで、落胆は否定できない。
旧スーツと今回発送する新スーツは、同時並行で開発を進めていたようで、実現性の高い後者で行くと決めたようですね。
もし旧スーツが計画どおり大量生産されていれば……と夢想してしまいますが、まあ前澤さんの想像に現実が追いつかなかったということですなぁ。
ZOZOSUITを詐欺だとかがっかりという人が結構いるけど、実際に量産ができなければ意味がないし戦略上当然の判断だと思う。
開発に携わったストレッチセンス社の株式評価損が18億4000万円、同社に支払い済みの前渡し金評価損が6億6300万円、設備投資の減損処理に14億8000万円。まあこれだけ損害が広がったら断念して当然ですわな。
ただ、これでセンサー式のZOZOSUITを諦めてほしくないな、というのが感想です。
だって、みんな期待したと思うんですよ、あのカッコいいスーツが無料でもらえてたった5秒で全身のサイズを計測してくれるなんてまさに未来そのもの。
お客さんは、金額相当の商品を欲しいだけでなく、未来を欲しがるものだから。
ZOZOで買い物をする人は、ただ服が欲しいだけじゃない。服を着た未来の自分を買うために注文するんですよね。
だから未来に期待するし、夢を見る。だからみんなZOZOSUITに未来を見ていたと思う。
ZOZOSUIT自体は失敗したわけじゃないし、今後バージョンアップして新新スーツを開発して、当初のセンサー式計測スーツを出して欲しいな。有料でもいいし、無料ならもっといい。今以上の評価が与えられるのは間違いない。
ZOZOSUITが変える世界とはどのようなものか
服を買う上で非常に重要なポイントはいくつか存在する。
- 好みのデザインがあるか
- 好みの色があるか
- 自分に合ったサイズがあるか
- 購入できる価格か
好みのデザイン、好みの色があってもサイズがないだけで諦めた経験、誰にでもあると思う。それが、このスーツで測定すればサイズ問題から永久におさらばできるのだ。
最初の3項目は、妥協して買うか諦めるか判断しなければならない。欲しい気持ちが強い場合、妥協して買うだろう。でも何らかの不満が残る。拭いきれない不満はさらに別のアイテムの購入に走ってしまうだろう。我慢したら渇望感が残る。妥協しても我慢しても不満や後悔が尾を引くのだ。
だから、もしサイズ問題が解決すれば。
不満を抱く要素が一つ消える。さらにZOZOのサイトでは膨大なアイテム揃えがある。ZOZOなら不満が限りなくゼロに近いと感じられれば、無敵のショッピングサイトが実現する。デザインや色の問題はかなり解消される。
デザイン・色問題まで解決できれば、残る問題はたった一つになる。予算問題である。
欲しいけど値段が高い、と言う場合、予算の問題なら、思い切って買ってしまうだろう。
この、最後の問題はさすがに解決できそうにないだろう。
と思いきや、ZOZOにはツケ払いなるサービスが存在する。これは予算問題を完全解決はしていないが、部分的に解消する試みだ。
こう考えるとスタートトゥデイ(ZOZOの運営会社)はあらゆる顧客の悩みを解決するための努力を提示して、購入障壁をなくす努力をしているのだ。
もし、予算問題を完全解決することに成功したらどうなるだろう?絶対にありえない話ではない。そうなった時、ZOZOはアパレル界のGoogleにまで上り詰め業界に君臨する日が来るのかもしれない。
ビッグデータの活用だとか他企業との相乗効果による将来性とかよりも、顧客個人の体験に根ざす、購入体験や未来体験の方がずっと衝撃的だしインパクトがある。
もしかしたら、ZOZOは未来において、ファッション業界のGoogleのような存在になっているのかもしれない、とひそかに想像している。
いや、提供するのはあくまでプロダクトだから、むしろファッション業界のAppleかもしれないね。
想像を創造、略してZOZO。がこの名前の由来だそうですよ。
ZOZO倉庫の勤務風土の良さが際立っている
実は僕は、ZOZOの倉庫の日払いのバイトをしたことがある。
膨大な商品が詰め込まれた広大な倉庫を、商品を探し回って右往左往したり棚に商品を詰めていったり検品したりした。
僕ら日雇い派遣スタッフが、だだっ広い通路をあちらこちらへ動き回り、納入された商品を所定の棚に収納していったり、逆に品物を探し出してカートに入れて回ったりした。
棚入れもピックもハンディスキャナを使って合理的かつ効率的に行っていたし、セール時や繁忙期はエライ量の商品が納入されていたし大型トラックが何台も出入りしていた。
僕はZOZO倉庫で働いたことはあるけど、別に関係者でもないしそんなにZOZOの大ファンというわけでもない。でも、倉庫の社員さんはいい人ばっかりだったし(逆に僕と同じ派遣スタッフの中にはアレな人もいた)。
単なる倉庫の仕事、ピッキングとか棚入れ作業をしている人たちって精神的に荒んでいる連中が多い中、あんなに善良な人たちが働いている倉庫は実に希少ですよ。そこはものすごく評価していい要素なんです。
ある企業の中で、業務的に貴賎があるというと誤解を受けるけど、花形部署と地味で日陰部署があるとして、両者の差が著しいほど、お互いの他方に対しての差別的感情を否定できないものだ。
そんな中、きっとスタートトゥデイに関しては、そんな部署の垣根を超えた共通のミッションがあるのだろう。開発部門も管理発送部門も同じ方向を見ている感じがする。外部から見たら実態を正確に把握することなんてできないし、完璧な企業なんてこの世に存在するわけないのは分かっちゃいるが。
スタートトゥデイの中の隅々にまで、前澤さんのスピリットや考え方が染み渡っていて、それがスタッフにも浸透しているからこそ、あの企業文化が成り立っていてそれが倉庫にまで行き渡っているんだと体感した。
素晴らしい未来を見せてくれる人たちには惜しみないエールを送りたい派ですよ、僕はね。
「ZOZOSUIT」の蹉跌 初代のセンサー型が終了、2代目の画像認識型への転換に「やっぱり…」
40億円の損失?
あっという間に取り戻せるんじゃないですかね。