みなさんこんにちはー!
あっくんさんです。
自分がやったことのあるアトラクションの中で、お仕事が最もキツいのはどこかと言うと、ここですね。
音で表すと、
キーン
キーン
(って鳴ってます)
なんじゃそりゃ、ですね(笑)
もったいぶらずにいきましょう♪
スペース・マウンテン、通称スペマンです。
何がどうキツいのか? これは実際に体験してみないと分かりません。
イチローが、メジャーのすごさは彼らの中に入ってみないと分からない、とか言ってましたけど、まさにそれなんですよ。
スペース・マウンテンのキャストは、ただやり続けているだけで、すごいです。尊敬します。
あそこだけは別格でした。(今は昔ほどではないようですが、それでもかなりすごいです)
なぜか。それはこれから説明する、カスケードの話につながります。
実は、スペース・マウンテンはとっても「止まりやすい」アトラクションの一つです。運営停止になりやすいということ。
一人のキャストが何か手順を間違えたり失敗したら、即止まります(笑)
いや笑ってる場合じゃないけど。
自分の失敗が原因で、並んでいるゲストのみなさんに迷惑をかけます。
こんなリスクの高い危険な状態でよくやってるな、と驚くばかりです。だって使えないキャストがやらかしたら、それでおしまいですからね。
(失敗させないようにあらゆる工夫をしているんですが)
いろんな意味で、スペマンは危険がいっぱい(笑)
というわけで、カスケードのお話をさらっとしておきましょう。
それでは、出発でーす!
(キーン)
目次
僕がやっていた時とはシステムが変更されている(ようです)
何度も繰り返しますが、ここで説明する事象は全て僕が体験したことではありますが、もう20年近く前の話です。今はかなり事情が異なるようです。
昔話だと思ってくださいね。
(と、言い訳しておかないと、今も同じだと思われてしまい困るのです…)
スペマンへ行った時の話です。
思い出したきっかけは、動画を見たからです。
この動画の中で、乗り場の風景が映っているんだけど、僕がやっていた頃と大きな違いがあるのを見つけました。
劇的な大変化です。
それは、コンソールポジションが、乗り場側と降り場側に分かれて運営されていること。
僕がやってた時代は降り場側の一箇所だけでした。
乗り場側にもあったけど使っていなかったんですよね。
カバーが被せられたまま、僕が勤務している間は全く使用しなくて、説明もされなかったから、メンテ用の設備なのかな、くらいに考えていました。
このツイートの写真の、右側の男性が立っているコンソールのことです。
右側は、乗り場側です。そしてこの金属の箱みたいなコンソールは、僕が勤務していた当時は一度も使われていませんでした。
この説明が正しければ、僕が最後に勤務したのが2002年くらいなので、その後の5年の間のどこかの時点で変更されたのかな?と思います。
昔の乗り場側のコンソールは、降り場側のそれの、真向かいに設置されていました。
この画像の、左端で切れているけど、外側に降り場側のコンソールがありました。
さて、上の動画は2019年の映像ですので、ほぼ現在と同じでしょう。
僕の記憶が定かではないのですが、乗り場側の、後方(上から降りてくる列のすぐ脇)の位置にあるコンソールはなかったはず。
動画を見ていると分かりますが、ロードランプ(坂道)の真横のコンソールキャストが、ボタンを押してロケットを出発させているのが分かります。
昔は、ロケットを出すのは降り場側コンソールがやっていました。
昔は、今2人のコンソールキャストが分担してやっていることを、一人でやっていたんです。
今のスペマンキャスト、ラッキーだなと思います。(笑)
昔のような苦労をしなくて済むんだから。
その詳しい話はまた今度にしましょう。(限定版か何かで語ります)
昔は11台のロケットで運営されていたが、今は10台じゃないかな(たぶん)
今回はカスケードの話でしたね。
時代が変わると作業内容も大きく変わります。僕がやってた頃と大きく変わっているんだろうなと分かります。
だからこそ、都合がいい。
前回、ビッグサンダー・マウンテンでの解説をしましたが、スペマンもほぼ同様なのでシステム上の説明は不要かと思います。
ただ、これがオペレーション(キャストがやること)の話になると格段に違うわけです。
しかもそれはあまり口外してもいいことがないので(キャストがどれだけ苦労してるかなんて聞きたくないですよね)、だから誰も語らないのです。
前置きが長くなりました…すまぬ。
★
僕がやってた頃のスペマンは、同時に11台のロケットが軌道に投入されて運営していました。
動画を見た限りでは、今は10台でやっているんじゃないかなと思います。
なぜ分かるかというと、乗り場の乗車列にゲートがついて、確実に乗り込みが遅くなっているはずだからです。
ロケットが停止してからゲートが開いていますが、こんなタイミングじゃ、11台運営はできない。
10台で運営すると、ちょっとだけのんびりしています。(あくまで感覚値)
スペマンはビッグサンダーと異なり、台数が多いです。
しかも、乗車時間が短く乗り物と乗り物の間隔が短いため、すぐ詰まります。
要するに、カスケードのリスクが格段に高いのです。それが諸悪の根源とも言えます。
詰まると言うことは、前のロケットに次のロケットが追いついてしまうということです。具体的には、乗り場で出発できずにいるうちに、後ろから次のロケットが戻って来る状態です。
ある区間、たとえば乗り場は、一定台数しか止まれないシステムになっていて、規定台数を超えると安全装置が作動します。ほとんどのケースがこれに当たります。
なぜ詰まってしまうのか。
乗り降りに際して、何らかの理由で時間がかかる時に遅くなります。
乗り込みが遅くなった。降りる人が遅れた(戻ってきたロケットに乗っていた人が降りて、そこに次の人が乗りますからね)。乗り降りが遅い人がいた。荷物が座席に入らない。荷物や体の一部がどこかに挟まった。席の足元に落とし物があったのに気づいた。やっぱり乗るのやめます、と乗ってから言われた。グループが全員揃っていない。その他、その他…。
こういうちょっとした何かが蓄積すると、徐々に遅れが発生します。もちろん遅れを取り戻そうと必死になってやりますので、取り戻せる場合もありますが、難しい場合もあります。
もう明らかに出発できないと判断された時。または後ろから次のロケットが迫ってきていて、何とかしないと全部止まってしまう時は?
ロケットの「引き込み」という作業を行います。
カスケードを回避するほぼ唯一の手段は、ロケットを引き込むこと
ロケットを格納庫(ストレージ)へ入れてしまうのです。
こうすれば、軌道上のロケットの台数が減り、ロケット間の隙間が開けられます。隙間が開けば、余裕を持って運営できるのです。
ロケットを引き込むと、その部分に2台分の隙間が空きます。これだけ余裕があれば、何とかなりそう・・・
な、わけがない(泣)
台数が減ったらすぐに余裕が生まれるわけではありません。その隙間が一周して、乗り場に戻ってきて初めて余裕が生まれます。それまで持ち堪えられなかった時に、カスケードが発生します。
ということは、ヤバい、と感じたら即座にロケットを1台引き込んで、隙間が戻るまで耐えないといけないのです。早めの判断が止めずに済むかどうかを分けます。
そもそも、突発的なトラブルは早めの判断すらさせてくれませんが。
常にギリギリの状態、それがスペマンなのです。
乗る前に判断して、ロケットを出さない条件があります。出発させてはいけない条件ですね。その中の一つに、定員があります。
定員オーバーはスペマンの場合、起きません。座席が1人一席固定なので。
可能性としてあるのが、重量オーバーです。
逆に定員が少なくてもダメです。
これらは、1話目を読んだ方なら理由が分かると思います。
再度説明すると、
「乗員人数や重量に差がある車体が前後すると、走行途中で各ロケット間の間隔に偏りが起こり、接近し過ぎた結果、緊急停止してしまう」
のです。
人数が少なめの軽いロケットの次に重いロケットが走行すると、途中で追いついてしまいます。
それが起きないように、乗車人数が少な過ぎるロケットや重過ぎるロケットは出発させないのです。
では、もしそれが発生したら?いざそれに気づいても、もうロケットにゲストが乗り込んでからそれに気づいたら?わざわざ降りてもらう時間はありません。いったん乗った人に降りてもらうのは、ただ乗る以上に時間がかかります。そんな余裕は全く、ない。
ではどうするか。
ゲストを乗せたまま、ロケットをストレージへ引き込むのです。
やっぱり、一度に説明しきれなかったな…。
それだけ奥が深いんですよ、スペース・マウンテンは。
★
というわけで、つづきは次回へ持ち越しだ!
それではみなさん、今日のところはさようなら〜!
キーン!
しつこい(笑)