テーマパークのキャストほど面白い仕事はない

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みなさん、こんにちは!

僕はかつて、東京ディズニーランドでキャストをしていました。その時のお話を、ここでは少ししてみたいと思います。

僕の人となりを知る上で、かなり重要な要素を占めることなので、こだわりを持ってご紹介させていただきます。

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キャストになる前は小説家志望のフリーター

僕がディズニーで働こうとする前は、小説家を目指していてバイト生活を続けていました。
ただ執筆して様々なコンクールに応募するも成果は出ず。

そろそろ次の展開を考えないといけないぎりぎり瀬戸際まで追い詰められていました。

ある日、いい加減まともな仕事をせにゃいかんなと思い、求人広告を見て求職するも仕事は見つからず。どうするか、と途方に暮れていた時、バイト雑誌に一面広告が載っていて、キャスト募集の案内が目に入りました。

それで、一時しのぎでいいから何か仕事しよう、と思い、応募したのです。

ディズニーでは面接ではなくサテライト(面談)と呼ぶ

東京ディズニーリゾートでは従業員が一万人以上働いていると言われますが、入れ替わりが頻繁に行われているキャストの求人・採用を、オリエンタルランド社の本社のみで行うのは現実的に難しいわけです。
特に春などは、数千名規模の採用を予定していますからね。そんな大勢を収容できるほど本社は広くありません。
大きな会場が必要ですが、本社にはその機能はないのです。

となると、別の会場を用意する必要があります。
それが、サテライトと呼ばれるキャスト募集イベントです。
毎年春になると、舞浜の近くのNKホールなどを貸し切って会場にして大勢の求人者を集めて行うわけですね。
(おっと、NKホールはもうなくなってしまいましたね……)

ちなみに僕が行ったサテライト(大昔の話です)は、千葉県・津田沼駅の近くのビルのワンフロア。
面接があまり好きでなかった僕は、バイト雑誌に記載されていた、

『面接ではありません』

の文句に惹かれて飛びついた。
履歴書は必要ありません、体一つで来て下さい、とあったのです。

おっ、これなら気楽に行けるぞと。

面談で応対してくれた社員の方(食堂部のSVさん)は今でも覚えています。
とにかく何でもいいから仕事くれ〜、な状態だった僕は、記入用紙の中の、希望職種がずらりと並んだ中で、とりあえず時給の高い職種に丸を3つつけて提出したんです。

そのSVさんは、
「希望の職種は裏方が多いですね……
と言った。

「駄目ですか?」

志望の動機に『貴重な体験をしたい』と書いてありますよね。裏方ならどこでも(ディズニーじゃなくても)できるんじゃない?
と言われてしまった。

僕は、とりあえずやる気があるように見せたかったので、思わずそう書いてしまったのだけど、逆効果だったか!

……マズい!
(不合格になりたくない!)と思った僕は、

「あっ、いえ、そういうの(表に立つ職種)って向き不向きがあるのかなと思って」と言い訳をしたんです。

「そうですか。本当はどれがいいですか?」

「本当は……アトラクションがいいんですよね」
と僕は、机の上に置かれた面談用紙に記載された、職種がずらりと並んだ一覧の中から、『アトラクション』とある部分を指して答えたんです。

たくさんある職種の中から、なぜアトラクションを選んだのか、今でも分からない。
一番上にあったのも理由の一つだし、何となく華やかで、目立つイメージがあったのも事実。

実はその時点で、僕はディズニーランドには一度も遊びに行ったことがなかったんです。
つまりアトラクションに関する記憶は全くゼロ
知識ゼロなのにも関わらず、それを指したんです。

SVさんはうなずくと、
「何かあるかもしれませんので、ちょっと待ってて下さいね」
と言い残し、裏側の奥に引っ込んで行きました。
(会場の奥にパーティションで仕切られた一角があり、そこへ入っていった)

ふー、危なかった。
これであなたは不採用です、と言われたらどうしようかと思ってヒヤヒヤしました。

その担当者の方は、2〜3分後に戻ってきました。

「ああ、ありましたよ。蒸気船マークトウェイン号です。これでいいですか?」

何が来るんだろう、と身構えていたが、船なら何となくイメージできる。

悪くない。
これが、ロケーションが決まったときの第一印象。

何でもいいから仕事が欲しかった僕は、
はい!
と元気よくうなずいてしまった(笑)。

「じゃあ決まりですね。おめでとう。これからよろしくね」

SVさんは僕に手を差し出した。握手する僕ら。
彼も嬉しそうだ。

僕も決まって嬉しい。

こうして僕は、未知の世界へ飛び込んだのでした。

入社式でキャストの基礎知識とパークを体験した

採用が決まってすぐにパーク内で勤務できるわけではありません。
正式な入社式と総合的な研修が待っています。

たかがバイトなのに入社式だって?と当時の僕は思ったのですが、決まりなら仕方ない。指定の日に本社へ向かいました。

ディズニーランドの位置すら正確には知らないのにオリエンタルランド本社がどこかも分かりません。受け取った書類には簡単な地図が入っていたのですが、デフォルメされた適当な地図なので、当日行って探すしかない。

ところが案の定、駅に着いてさてどこかな、と探すといまいちよく分からない。

うーん、地図とちょっと違うような……。
その通り。華やかなテーマパークとは別世界の、狭くて細い道をどんどん進んでいく人々。その先にはセキュリティゲートがあり、警備員(セキュリティキャスト)が立っています。

「IDカードのご提示をお願いします」

セキュリティキャストに言われ、いや入社式に来たんですが、と答えると、
「本社ビルはここを出て右側へ進んで下さい。大きな門がありますので」と言われてしまい。

やっぱり間違ってたのね、と気づく。

入社式は午前10時から開始。
その時の時間は9:55。ぎりぎりで駆け込む僕でありました。

会場に入ると、さっそく開始。
お偉いさんが現れて挨拶を行い、それからディズニーユニバーシティと呼ばれる研修が始まりました。

この時の担当インストラクターがカストーディアルの方で、ウォルトディズニーの生誕エピソードやディズニーアニメ、そしてテーマパーク誕生の話を、休みなく2時間に渡って解説してくれました。

(すげーな、この人もう2時間もぶっ続けで喋りっぱなしだよ!)

と当時の僕は講師の彼のセリフの記憶力に感心してしまい、肝心のディズニーの歴史はほとんど覚えていません(いや少しは覚えてるけど)。

とにかくキャストってこんなにセリフ覚えなきゃいけないの? って正直ビビったのを覚えています。
(そんなわけあるかーですが。でも中にはこの研修・通称ユニバのインストラクターを務める人もいるので、選ばれた人は頑張って覚えるのですよね……)

お昼休憩が終わり、午後からは確かパーク内へ繰り出したのを覚えています。

午後一番で、受講者に各自の名前が入ったネームタグが配布されました。

そこからどう向かったか覚えていないのですが、正面入口まで行き、これから入園しましょうということになりました。
ローマ字で自分の名前が入ったタグを付けて、先導のキャストに連れられて、メインエントランスのすぐ脇の専用ゲートからパーク内へ入場したのを覚えています。

そう、それまで体験したことのなかった場所、東京ディズニーランド。

入園するゲートの手前、チケット販売ブースの手前から、BGMが流れていますよね。

いきなりパーク内へじゃなくて、ゲストと同じ行動で、外側からパーク内へ入っていくわけです。
これ、すごくリアルな体験なのです。

ああ、こうしてゲストは入場していくんだな、パーク体験をするんだな、と一発で分かります。
こんな疑似体験を用意してくれていたことに、とても感心したものです。

今となってはどこからどこへ歩いていったかもう忘れてしまったけど、パーク内を歩いてぐるっと一周回った体験は新鮮かつ強烈でした。

これはすごい場所だ。
とんでもない世界を作ったんだなと感動です。

午前中にIDカード用の写真撮影を行っていたので、終わり際にIDカードを受け取り、終了。その日は短時間で終わり、次は各部で個別の研修がやって来ます。

次は少し日があいていたので、お金がなかった僕はかなり焦っていたのを覚えています。

オリエンテーションは運営部向けの研修

僕は運営部に配属ですので、運営部オリエンテーションがありました。
これも本社に集まって、運営部に特化した研修が行われました。

入社式は全部で100名くらい参加しての講習でしたが、今回は約30名で、前回より小規模な会場で行われました。
(確か本社D館だったと記憶していますが違ったかも)

オリエンテーションで行われたことは、いわゆる企業セミナーの類と同じで、自己紹介をしたり表現力を磨いたり、その手の研修だったと思います。
でもこの日はとても印象が薄い……。覚えているのは、

  • 自分と同じマークトウェイン号の人はいなかった
  • パーク外で勤務の人(東京駅のチケットセンター?)がいて、みんながかわいそう〜、と言っていたのが妙におかしかった

くらいですね。
午前と午後で違う講師が担当し、研修が行われ、いよいよ次は現場に配属です。

終わり際に、また参加者が別々に分けられたのですが、その時は知らなかったけど後から考えると、各エリアごとにグループ分けされたようです。

僕はアドベンチャー/ウエスタンランド・エリアの人たちと一緒に、運営部オフィスへ連れて行かれました。

そこで、配属先ロケーション(部署)のOJTの日程を記入した用紙を渡されました。

マークトウェイン号はトレーニングは3日間。
一日目:3月27日 午前6:30〜
二日目:3月28日 午前6:30〜
三日目:3月27日 午前11:30〜

んっ、6時半から?
早い! 何でこんなに早いの?と驚きました。

でも隣にいた、ビッグサンダーマウンテン配属になった女の子のを見せてもらうと、何と5:30〜とあってその子もびっくり。

「ええー、始発でも来れないのに?」
と言っていましたが、オフィスの方は
「寮に泊まって下さい」と一言。

すげー、バイトの研修で宿泊するんか、6時半でよかった、と胸をなで下ろしていた自分であった。
何でこんなに早いかというと、この当時の春休みの開園時間が7:30だったから。

この何年も後に、僕も実際にビッグサンダーマウンテンのトレーニングを受けましたが、確かに開園2時間前から始めないと、できない作業があるので仕方ないのです……。

ちなみにスプラッシュも同じ、開園2時間前からトレーニングを開始します。
昔みたいな7時半オープンはないから、さすがに5時半トレーニング開始はありませんでしたけどね。
(でも今はアーリーオープンがあるんでしたね。まさか、労働環境はもっとひどくなってる?)

入社式は2月の上旬で、このオリエンテーションが確か2月13日か14日。
その次の、現場での勤務は何と3月も終わりに近い日で、一ヶ月近く日が空いてしまい、その間仕事がないので非常に焦っていました。

しょうがないので、日雇いのバイトでもするかー。
で、ディズニーでの勤務を待ちわびる日々。

そして一ヶ月ほど期間を置いて、いよいよ現場、パーク内の勤務へと突入していくのです。

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あっくんさん

あっくんさん

元TDLにてアトラクションキャスト勤務を経験した十数年間を回想する場。このブログはそんな僕の、やすらぎの郷でございます(笑)。

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2 件のコメント

  1. こんばんは。
    良く覚えてますね(笑) 自分はほとんど忘れてますわ!!! 
    面接は津田沼のサンペデックだったのは覚えていますが。

    私はオープン専門だったんで、車で通勤出来たのが嬉しかったですね。繁忙期になると今のイクスピアリが駐車場でした。 通常は本社裏にあった駐車場でしたが、10周年の頃はベージュのリムジンが停めてありました。
    ディズニーはロケーションによって影響しますね、
    幸いロッカーから近い所だったので良かったです。エーム食堂のラーメン良く食べたな! 途中で撤退してましたが。

    • まる様

      当時は従業員用駐車場が本社の近くにありましたね。時々車両通勤の人に、車に乗せてもらって浦安のファミレスとかに連れて行ってもらいました。
      リムジンって、リマウジンですよね。アンバサダーの就任パレードで、パレードルートを走っているのを見たものです。
      エームのラーメン、290円でしたっけ?とにかく安かった(笑)。
      まる様とは、きっとバックステージのどこかですれ違っていたと思います。

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