プロフィール

今につながる流れを、とりあえず思いついたまま書いてみました。

デュアル人生戦略のすすめ

僕は元々小説家志望で十代から色々書いていたんですね。

高校生の頃から書き続けてきた。大学浪人もしたけど本腰を入れて勉強に身が入るわけもなく、夢中で書き続けていたんです。まあ卒業して中途半端な状態からまともに就職ができるとは思っていなかったから。

そもそも小説家になるのだって、いわゆる新卒で就職しても自分の実力では大勢の人たちに勝てないだろうと自覚していたし、そもそも好きでもないことをいくら頑張っても強者にはなれない。

就職を選んだ時点で負けが確定したようなものです。それくらい自分の能力を厳しめに見積もっていた。

ならば、通常ではないルートを行くしかないだろうと。

一流のサラリーマンになる道は不可能と諦めた。いや、諦めたというよりは、そんな道を選んでも自分が充実した人生を歩めるとは想像できなかった。「まともな人生」を進むことが自分にとって重要だとは全く思えなかったんです。

普通は親とか周囲の人たちが、あなたを丸め込んで何としてでも「まともな」人生を歩むように仕組みますよね(笑)。あなたが道を外れるようなことをしたら、どうにかして道を修正しようとする。

なぜ他人が自分の進む道を決めるんだ?この疑問は自分の中でいくら考えても見つかりませんでした。その頃、僕の父が病気で亡くなったのもあります。いや、それより前から考えていたんですが、父が亡くなったことでさらに疑問は明確なものになりました。
自分の人生の軌道は自分で描くべきだ、と。

では、まともな道以外の選択肢として何があるだろう?
今ならたくさんの道がありますが、昔は限られた少ない道の中から選ぶしかないと思っていた。実際はあったと思いますが、自分には見えていなかった。

だから、自分を表現する上で何をするべきか、と考えた時、自然と小説を書こうという答えが導き出されました。もう迷うこともなく、それしかないと頑なに信じこんでいたわけです。

で、受験も勉強も放り出してひたすら書き続けていた。浪人生の仮面をかぶって。
小説家を目指したのは熟慮した末の結論ではなく、火花が飛び散るようなひらめきで決めたので、ちょっと違いますけどね。その両者があっての結論だった。

ただ小説家としては全く芽が出なかったので、そのまま続けるか就職するかの選択を迫られていた。
そこへ、じゃあ最後に自分の好きなことをやってやろうと考えて、バイトを探したんです。
自分の戦略にはない道をチラッと覗くような感覚で。

で、バイト雑誌に乗っていたのがディズニーです。
それでサテライト(面接会場)へ行きました。

で、ディズニーでの仕事を十数年続けるわけです。
「就職」の圧力は常にちらついていました。バイトでは大した収入にはならない。かといって小説家でデビューもできていない。道が塞がれていたような状態です。
でも、就職したら執筆する時間が取れないのは確実だ。この2択は常に目の前にぶら下がっていました。

どちらを選ぶか。
この選択肢のどちらかが明らかにメリットがあればすぐ選択していたでしょう。でも決め手が見つからなかった。

だから僕は「選ばない」という、もう一つの選択肢を握りしめた。二つのうち、どちらも選ばない。
保留状態を続けていました。ディズニーでの十数年はその保留状態です。

さて、その間ずっと同じ考えていたのは、このまま意固地に執筆活動を続けるかどうかです。
小説の方はなかなか筆も進まない。たとえバイトとは言えディズニーは楽をさせてくれない。ちゃちゃっとバイトを済ませて自分の本来やりたい活動に打ち込むのが理想です。

でも僕はのめり込んでしまった。
ディズニーに夢中になってしまったんです。これはいけない。非常にまずい(笑)。
やはり不器用なやつですね、僕は。
だからこそ、標準的才能の人間独自の戦略が必要なんですよ。

とにかくキャスト現役中は常に自分の行く末を考えながら保留状態を続けていた。
何も考えずにただ就職したからオーケー、という道を選ばなかったわけです。それがいいか悪いかは人それぞれ。

なぜ就職が最良の選択肢ではなかったか。これはかなり早い段階で気付きました。

優良な会社に入るための戦略としてはいい学校に入る、いい学校に入るには勉強を頑張る。最も普通の戦略ですよね。

まずここで僕はつまづいたんです。僕が優秀な成績を獲得するには結構頑張らないといけないことが分かった。
そこにメリットがあれば頑張ったでしょう。でも最終目的のいい会社に理想を見出すことができなかった。頑張ったその先に理想がないなら、僕でなくとも頑張れませんよね。

ならば、このまま続けても有利な条件は得られないなと。
純粋な勉強にはどんどん消極的になっていきました。決して成績は悪くなかったけど人より上に行きたい動機がない。だから勉強しない。どんどん成績は下がっていく。

そこへ僕は強烈な体験をすることになる。それは当時のアニメだったり漫画だったり小説なんですが、エンタメの可能性の広がりに夢中になっていた。これこそ自分の進む道だと。まあ大いなる勘違いですが。でも人生はすべからく勘違いで進むのが楽しいです、圧倒的に。
恋も仕事も喧嘩も何もかもが。

だから正確には、これしかないではなくここへ自然に寄っていった、ですね。
道は決まりました。直感です。

僕の目算では数年で小説家になりそこそこ有名になって、というプランを立てましたが全く理想へ近づけない。いつまで書いてもプロの世界は近づいてきませんでした。

これは誤算でした。いや当然なんだけど。血の滲むような努力をしたわけでもなくただ闇雲に書き続けただけなので。努力でもなんでもないです。

そこで、どこかの時点で大きく戦略を立て直す必要があると感じていた。
このまま活動しても変化がない、でも諦めたくない、さあどうするか。

とにかくやりながら考えしかない、第1の理想は小説家として生活できるようになること。その軸線を外さずに生活基盤を確保しながら進む。就職すると貴重な時間を確保できないので選択肢から外す。

この基本線を辿りつつ随時条件を模索すると同時に執筆活動をしよう、と決めました。

困ったことに、僕は努力家ではないため待てど暮らせど小説家になる気配すらない。
しかもディズニーの仕事はかなり気を持っていかれるんです。そっちに入れ込んでいたため、小説を書く気力を削られてしまった。
でもそのくらいで失うようならプロになるのなんて無理じゃない?と今なら考えるけど、当時はその余裕もなかった。
全ては結果論です。

昔なら夢を追いかけるか諦めて就職するかの二択しかなかったんです。

でも今は違う。多様な選択肢がある。夢を諦める、ではなくて主力にするか優先順位を下げて力を抜くかを決められる。
サラリーマンをやりながら音楽をやったり漫画を描いたり両立させたりができます。まあ本業一本で行くのが難しいのもありますが。それだって多様性があることの、裏返しです。

これはデュアル戦略です。
どちらもやって、いけそうだなと思ったら片方を捨てて全力を投入する。行ければそのまま夢を達成する。途中うまくいかなくなったらデュアルに戻して様子を見る。そんな器用なやり方が選べる時代なんですよ。
いい時代ですね。

当時の僕はその先駆けだったのかも。諦めきれない夢を抱えつつ好きな仕事を続ける。
自信があったり才能があって、二つ両立する必要がないなら一本で行けばいい。
また途中まで二本だてで行って、これは行けそうだと確信したらその時点でゴー。

で、しばらくやってみてうまく行かなそうならデュアルに戻る。

肝心なのは常に考え続け、走り続けること。無思考が一番危ないです。
医者や弁護士ですら不安定な世の中ですよ。

芸能人だって芸術家だって、何十年も続けられるのは一握り。一発当てるのも難しいのに、それを何十年も続けられるのは超人です。でもこれはサラリーマンも同じなのでは。ずっと続けられるのはごく一部の才能ある人達のみ。

つまり、最初から続かないのを前提に選択すべきなんです。

最初から一本で行くほうが効率的ならそうしていい。
無理に2つ以上同時に走らせる必要はないし、途中で一本化が難しいと判断したら、その時点でデュアルに切り替えてもいい。

自由自在に戦略を中途変更する。器用に夢を追いながら現実に生きていく。
それでいいと思いませんか。

今は道を誤ってもすぐ違う道に方向転換が容易にできる。なんといい時代だこと。

デュアル戦略とは、現実的な道と理想的な道の2つを指します。

二兎を追う者は一兎をも得ず、という言葉が昔からありますが。
今は違います。

二兎を諦める者は一兎をも得ず、ですね。

考えられる二つ以上の道を想定して、賢くやっていきましょう。

それがこのブログの伝えたいことです。