今月ですね、ヤンシナ締切。
自分は出すべきかまだ迷っています。
というのも、前回の大賞受賞者がなんと、中学生ですからね。年齢で受賞したわけではないし、審査では応募者の個人情報は隠しているわけで、関係ないっちゃないんですが。
しかし、月間ドラマの記事を読むと、最終審査の際には作者が中学生であることが分かっていたようですので、一次〜二次審査のみで隠されていたということでしょうかね。
となると、最終審査まで残ると、作者のプロフィールが影響を与える可能性があるということか……。
しかしこの意外性、フジらしいといえばらしい(らし過ぎる)結果。
現在のヤンシナのスタイルになって(締切やウェブ応募とかその他)数年たちますが、当初、脚本家をスターのように注目される存在としてデビューさせたいというのが局側の考えとしてあったようです。
それを踏まえると、ありきたりの「ホン」を選ぶという哲学は、フジにはないと思われます。
その当然の帰結として、前回の中学生受賞があったのではと思います。
では、それを前提にして、どうすればヤンシナをゲットできるのかを考えてみたいのです。
また作品を通じて、次回のヤングシナリオ大賞への応募対策を考えてみましょう。
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Contents
ヤングシナリオ大賞は、積極的に新人を輩出するほぼ唯一の脚本家創出機関である
非常に厳しい結論ですが、フジテレビの「ヤングシナリオ大賞」以上に新人発掘に力を入れているテレビ局はありません。
シナリオコンクールはいくつもありますが、結果的にプロの脚本家を輩出しているのはここだけと言えます。
なぜならば、新人というものは「意識して育てないと自力では成長しない」ものだからです。
というと語弊があるかもしれません。
世の中の脚本家はみんな「育てられた」というのか?そんなはずはないですよね。
そもそも、現在活躍している方々の多くはコンクールなど応募しなくてもプロになっているではないか、と。そのとおりで、コンクール受賞だけがプロへの道ではありません。
ただし、それは別の何か「能力」「才能」「縁故」「運」「営業力」を持っていた方たちだからです。
それらをほとんど持ち合わせていない、我々のような「一般人」は、コンクールを利用するしかほとんど道は開かれていません。
有望な新人が自力で育ってくるのを待ち受けているようでは、その業界を大きく成長させることはできないのです。
これは何もシナリオやドラマ界だけの問題ではないのですよ。
たとえばスポーツでいうと、フィギュアスケート界や卓球界だって、勝手に優秀な子どもたちが出てくるのを待っているだけでは、金メダルには絶対手が届きません。
先輩たちが道筋をつけて後輩を指導して、世界レベルへ到達するまでのルートをきちんと確立して「若手にどんどん参入してもらう」よう工夫をしなければ、業界自体が広がっていかないんですよね。
ドラマ界に注目すると、新人育成には、フジテレビが唯一気を吐いている状態ですから、僕らも注目せざるをえない。
時には盛大な失敗もするけど、結果として新人の登竜門としての信頼性の高さが、このヤングシナリオ大賞には、ある。
フジテレビには、ドラマ界を大きくしていこうという気概が感じられるのです。
他局でもやっていないわけではないのですが、実質的に育成しているとは言えない現状を見るに、事実上機能しているのはフジテレビだけなのかと思います。
テレ朝は受賞後のルートが険しすぎて、事実上新人潰しになっています。
TBSは保育期間が長すぎて、生殺しになっているような……(笑)いや勝手な想像ですけど。しかし野木亜紀子さんも連ドラ大賞を獲っていますので、必ずしもプロを輩出していないわけではないのですが。まだ歴史が浅いだけかもしれません。
だからこそ、この「シナリオコンクール」からプロへ進むルートに我々は注目し、進んでいきたいものです。
このルートを攻略しないことには、チャンスは得られないのですから。
前回の大賞受賞作「ココア」を読んでみる
【史上最年少14歳女子が受賞 フジテレビヤングシナリオ大賞】フジテレビヤングシナリオ大賞の選考結果が発表され、大賞は中学2年、鈴木すみれさん(14)の「ココア」に贈られました。坂元裕二氏が受賞した際の19歳を大幅に更新する史上最年少受賞です。
記事はこちら⇒https://t.co/c7ix4O3LpH pic.twitter.com/Z7oqQipoWe
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) November 22, 2018
月間ドラマ2019年1月号に掲載されている受賞作「ココア」を読んでみました。
一言でいうと、実に「ドラマらしいシナリオ」だなあと感じます。対策をしっかり練った末に組み立てられた作品。
ドラマで盛り上がる要素をきちっと入れ込んでいく「対策」を強化したシナリオなんですよ。
内容は、主人公の高校生がストリートミュージシャンと出会い触れ合うストーリーを軸に、別の両親がダブル不倫している女子高校生の話と、さらに二人の男女高校生の話が重なるオムニバス形式になっています。
もうのっけからセオリー破りですね(笑)
コンクールにオムニバスを持ってくるなんてシナリオ上の常識からするとありえない書き方です。受験生にたとえるなら、本番の試験に、ゆるキャラの格好で来て試験を受けるようなもの(受験に服装規定なんてないですよね……?)。
ちなみに、シナリオコンクールでオムニバス形式の作品を出しちゃいけないなんて決まりはありません。
やりたきゃやればいい。でもそれが評価されることは、極めて異例なんですよね。
なぜなら、オムニバスにすると、一人一人の登場人物のドラマが薄くなるんです。きっちりキャラクターを描けない。雑に描くかドラマ成分が薄くなることで面白味に欠けてしまう。
そもそもその能力が劣るからアマチュアなのであって、登場頻度が少ないのに濃いキャラを描けるなら、それはかなりの実力の持ち主と言えます。
コンクールなんか出してる場合じゃないだろ、早くプロになって活躍しろよ、ってくらい順序が違う(笑)。
それではなぜ、この作品が評価されたのか。なぜ主人公のキャラが薄くなるリスクが大きいオムニバス形式で、評価されたのか。
ここに、この作品が評価された理由が、隠されています。
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大賞作「ココア」にはドラマの濃い成分がたっぷり詰め込まれていた
この作品、中学生が書くにふさわしくない成分がしこたま含まれています。
ダブル不倫をはじめとして、いじめ(いじめる方といじめられる方)、自殺、ネット拡散(映像出ず)、と盛りだくさん。
これらは今のドラマで欠かすことのできない刺激的成分ですね。ゴールデンタイムのドラマを見ればほぼ毎日のように出てくる要素です。これらを遠慮することなく臆することなく盛り込めるのは、プロにかなり近い感覚かと思われます。
中学生でありながら作者の鈴木すみれさん、かなり今のドラマを研究しているということ。
そこが評価されたのかと。
シナリオを読んでみると、確かにオムニバスにしたことでドラマの最も重要な「主人公のキャラの描写力」が損なわれていて非常に薄くなっています。
映像になった作品も見たんですが、「ところで誰が主人公だっけ?」というのが素直な感想。
代わる代わる違う人物が出てきて、平行するストーリーを見せられて。
しかも3つのストーリーの主人公が全て16歳の女子高校生という紛らわしさ。
群像劇を苦手な方にとっては、一体どこを見ればいいの?と感じるでしょうね。
本来、ドラマは主人公のキャラクターを丁寧に描くことで人物への感情移入をしやすいように作られています。それが薄いと視聴者が共感しにくくなります。共感できないと「つまらない」と感じてしまうため、ここは非常に神経を使って工夫するわけです。
ところがこういう作品は、その薄い部分を補強するために、何らかの工夫をする必要があります。
そこで用いたのが「刺激の強い」成分を入れることで、関心を呼び起こし、視聴者を引きつける手法ですね。
かつての野島作品や、今だと坂元裕二さんの作品に見られるような、現代人の「癇に障る」要素を盛り込むことで共感を強める。
それに加えて主人公の描写もきちんと行えば、共感力はさらに強まります。
つまり、足りない部分を補強する能力が認められた作品、ということです。
この作品に面白さを感じるとしたら、おそらくそこではないかと。
まああまりやりすぎると逆効果になるし、何度もやると「ああまたか」と思われてしまうので、そこは注意が必要ですが。
でもコンクールなら一度きりの勝負ですから、ここだけバチッと決めれば合格点を取れるというわけですね。
というわけで、とても実力のあるところを見せられた作品でありました。
さて、彼女はこれからどのような作品を書いていくんでしょうか。
未来が伸びしろしかないなんて、実にうらやましいですねー!
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