脚本の超基本的な書き方・基礎編4【台詞の書き方を詳しく解説します】

台詞の書き方教えます・基礎編

台詞は脚本の中で最も重要な要素だと言われています。
主人公が放つ名台詞が、いつまでも記憶に残る魅力的なキャラクターを生み、数々の名作をこの世に誕生させて、見る人の人生観すら変えてしまうほどの大きな感動を与えてくれます。

逆に言うと、セリフがつまらないと人物に魅力が出ません。魅力のない主人公のドラマなんて誰が見るのでしょう?

というわけで、非常に重要なセリフ。しかし重要だからこそ、マスターするのは非常に難しい。

まあ焦らず、とりあえず基本からおさらいしましょう。

 

『シナリオの基礎技術』では台詞はほとんど解説していない

 

シナリオ・センター出身としては、新井一さんが台詞についてどう語っているか気になりまして。
そこで、『シナリオの基礎技術』を開いてみました。
シナリオ・センター創設者の新井一氏が著作した、脚本ライティング技術の基本中の基本とも言える名著です。シナリオ・センターの生徒さんはほとんどみんな買ってるんじゃないかという言うくらい有名でして。

驚きました。台詞に関する記述が非常に少ないんです。というかほとんどない。
ごくごく簡単な書き方しか書いていない。ひょっとして台詞は技術ではなくセンスだということ?

次に、僕が惚れ込んでいる名著、感情から書く脚本術はどうでしょうか。

本書ではかなりのページ数をさいて台詞について解説しています。何本かの代表的映画から台詞を抜き出して、良い例、悪い例をピックアップしています。
ところが、かなり実践的なサンプルを次々と取り上げてひたすら羅列しているため、基本的な知識というよりは、中級者以上を対象にした内容になっているんです。
というわけで、本書の内容は別の機会に譲ります。

シナリオ指南本の最大の問題点は、取り上げている作品が古いことなんですよね……。
取り上げられている作品を探して見るだけでもかなり苦労するし、古い映画は価値観もズレているし、現代に送り出す作品を作る上では、あまり勉強にならないんですよ。

今を描くドラマや映画を作るなら、今の作品を取り上げるのが一番です。
しかし過去の作品の中には素晴らしい名作が多く、それを無視して最近の作品だけを取り上げるのも違うんですよね……。

実に悩ましいです。

 

台詞の書き方の基本ルール

役名と台詞の配置、改行

晶「……うん、いいよ。私も会ってみたい」

人物名を頭につけて『「』で始めます。そして『」』で終わります。
台詞の最後に『。』はつけません。
『!』『?』で終わるのはあり。

長い台詞で改行したら、一段(一文字分)字下げする。

名前は、一般的には男性名は苗字で、女性名や子供の名前はファーストネームで表記します。
ただし決まりではありません。他の人と混同しなければ男性名に下の名前を使っても
OKです。

ホームドラマのように同じ苗字の人がたくさん出て来るなら、区別してファーストネームがいいですね。

理想的な台詞は、役名を見なくても誰が喋っているか分かる台詞であること。
つまりその人を如実に表している最適な台詞ということですね。なかなかその境地に達するのは難しいですが。

台詞のルールってそれくらいです。

動物には台詞をつけるときも人間と同じ。言葉を喋る設定なら必要ですが、鳴き声だけなら不要です。

ナレーション

N「その時彼女は泣きそうになりました」

ナレーションは、物語を説明する声ですね。これは登場人物とは違う存在が喋るもので、全く映像に出て来ない人です。いわゆる神の視点からの語りなので。

特に朝ドラは必須です。
ナレーションのない朝ドラって見たことないですよね。
そもそも朝ドラは、家庭の主婦が忙しい家事の合間に見ることを想定し、声だけ聞いていても意味が分かるように作られているんだそうですよ。
家事で画面を見ていなくても内容が理解できるように、ナレーションを使うのだそうです。

一方、登場人物の声が(本人が出ていないのに)聞こえる場面もあります。モノローグです。

モノローグ

M「私はこの時、今にも泣き出しそうだった」

モノローグは、登場人物、主に主人公が独り言を言っているという設定です。
心の声を、視聴者に伝えるのです。

ナレーションだと神の視点なので、知らないことはない存在が語っているわけですが、モノローグは登場人物の一人が現実に見ているシチュであり、知らないことがあってもおかしくないのです。

この違い、分かります?

独り言は知っていることしか言えないんですね。映像に登場する人物が考えていることを言葉で表しているんですから、作中の人たちがだれも知らない事実(例えば未来に起こる事件とか)は伝えられない。

一方、ナレーションなら神の視点なので言えます。

N3ヶ月後に、まさかあんな大事件が起きるとは夢にも思っていなかったのです……」

例外的に、ナレーションを作中の人物が担当することもあります。

過去に遡って昔の出来事を回想しながら追っていく形式なら、登場人物が昔話をしているわけで、未来のエピソードを語ってもおかしくはないですね。
ナレーションする人物から見ると過去の話を語っているため、これから何が起きるか知っている)

電話の声

二人の人物が電話で会話していて、片方は今のシーンに映っていますがもう片方は見えないですよね。そんな時は、見えない側の人は声だけの出演になるわけです。

普通の台詞と同じに並べて、

〇〇の声「~」

OK

ちなみに、電話する二人の姿を交互に見せるカットも可能です。少し面倒ですが、いちいち柱を立てて双方のシーンを書けばよいでしょう。

電話シーンは、実は工夫次第で面白くなったり単調になったりする、表現力の力の差が如実に出てしまう場面なのです。

脚本家の力量がバレてしまいます。

見えない人物の声

上とちょっと被りますが、映像には枠(フレーム)という概念があります。画面に映る、映らないが演出として利用できます。

映像は、映っているものだけが全てではありません。
映像では見えない位置にいる人を、声だけ聞かせて登場を予告する手法があります。その場にいるんだけど画面には見えず、枠の外側にいるわけです。
その場合、声は台詞として書かなければならないので、

〇〇の声「お待たせ。間に合ったよ」

声のみ出演はよくある書き方です。
使い方によっては劇的な効果を出せますのでオススメです。

台詞が難しい理由は人物の魅力を表すから

ただ会話を書くだけなら、日本語さえ話せれば誰でもできます。じゃあただ書くだけでいいのか?そうはいかないのがドラマの難しさです。
よく言われるのが『魅力的な台詞を言わせろ』というもの。

どうやって言わせれば良いのでしょう?
ここはプロでも悩むところです。どんな台詞を言わせれば魅力的になるのか。決して極めることなどできない永遠の課題です。
決まった手順に従って機械的に書けばいいものではなく、その場その場に合わせた最適な言葉を紡いで語らせます。

だからこそ難しいのです。

その言葉で、他の人物の考えや気持ちは変わるでしょうか。
その台詞を受け止める相手にとって、感情的変化は起こるでしょうか?
何の感情的変化も起こさないとしたら、おそらくそれは失敗です。

台詞の役割

ところで台詞には役割があります。そんなの、俳優の喋る内容を伝えるだけだろ、と思うでしょうが、少し違います。

台詞の隠れた役割とは、テーマを伝えるものなのです。
会話を通じて感情や伝えたいメッセージを乗せて、視聴者を感動させることが目的です。

会話イコール言葉ではありません。ただ単語を並べて役者に喋らせれば面白くなるわけではないのです。
面白い台詞とつまらない台詞があるとしたら、まさにここに秘密が隠されています。

台詞とは、言葉を使って何らかのメッセージを伝えるものなのです。

 

 

 

 

 

 

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