面白いドラマと楽しいドラマを混同していないか?

野球観戦をする人々の画像

最近のドラマを見ていると、繰り広げられる登場人物たちのやり取りが、とても楽しいものが多いように感じます。

警察ものやミステリー等、サスペンス要素のあるジャンルを除いた、普通の生活を描いたドラマ作品で感じます。
職業ものとか恋愛もの、ほぼ全般的に言えるのですが。

基本、人が死ぬ作品以外に、この傾向が見られます。
楽しいのはいいんですがドラマとしてはちょっと物足りない感じがします。

最初に断っておくと、それは決していけないわけでも、駄目でもありません。

これは何かが違う。と漠然と感じていたんですよ。

面白いドラマと楽しいドラマは別物である

あなたは面白いドラマを見たいですか?
普通のドラマ好きなら、もちろんイエスですね。

では、楽しいドラマを見たいですか?
これも、たぶんイエスでしょう。

ところで、「楽しいドラマ」って何だと思いますか?
そして面白いと楽しいの違いは?

実は面白さと楽しさは違います。
たとえば、ホラーが好きな人はホラー映画を見て面白がるし楽しみますよね。

スポーツが好きな人がスポーツのドラマを見ても、面白がるし、楽しめるでしょう。

では、野球好きな人がサッカーのドラマをみたら、楽しめるでしょうか。

楽しくないことはないでしょうが、もし野球以外のスポーツに興味がない人なら、サッカードラマは楽しめないかもしれません。

ただし、その作品がとてつもなく面白く感じたら。

それは面白さを感じた要素が、サッカーでもスポーツでもなくドラマの成分に対してだからですね。

つまり題材(スポーツの種類など)で面白く感じたのではないということです。

もうお分りですよね。

野球好きの人が面白く感じるサッカードラマを作れ

人がドラマに面白さを感じるポイントは題材にあるのではありません。ドラマのテーマやキャラクターの魅力など、他に面白さを感じるポイントはいくつもあります。

サッカーそのものの面白さだけで見てもらえるのはサッカーファンくらいのものでしょう。
それでは面白いと思ってもらえる割合(視聴率)は増えません。一定の人数の中でどれだけ多くの視聴者を引きつけられるか。

特にテレビの世界はチャンネル争いが重要で、どれだけ他局から視聴者を奪えるかが鍵になります。
作品中のいくつかの魅力の中で、どれかが視聴者にヒットすれば、見続けてくれるはずです。

さて、今回のテーマは楽しさと面白さの違いです。
同じじゃんと言わずに考えてください。

楽しいというのは感覚であり感情であり状態です。
楽しいの感覚は、視聴者よりはむしろ登場人物が楽しくなっているということ。

対して面白さとは、興味深く、引きつけられている状態であり、もっと見続けたいと思っています。

2つを明確に分けるのは、不幸な要素が入るかどうかです。
これは主人公などの身に起きた不幸な出来事、悲しいエピソードですね。

ただ楽しいだけのドラマ。最近増えてますよね。
これは見ている視聴者が楽しいというよりも、登場人物たちが楽しそうにしていると言ったほうが分かりやすいかもしれません。

ドラマ世界が楽しさで満ちている。
楽しいは結構ですが、多くの場合、ドラマ自体はつまらない状態なんです。

面白いドラマは、必ずしも人物たちが楽しいとは限りません。主人公は苦境に立たされ、とてもつらい体験をしているかも。
でも視聴者は、面白く感じている。

なぜ主人公がつらい思いをしているのに面白く感じるのでしょうか。
そんなに視聴者(あなた)は意地悪で性格が悪いのでしょうか。

それは、面白さと楽しさは全く別ものだからです。

この場合の面白さとは、喜怒哀楽を含めたあらゆる感情全般のことを指します。ポジティブな感情もそうですが、ネガティブな感情もなのです。
これらの感情に共感すれば面白く感じるし、共感できなければつまらなく感じるのです。

楽しいだけのドラマは楽しさは感じるけど、そこに共感が生まれないと面白さは感じません。ただ楽しければ面白いわけではないのです。

どんなにネガティブな運命に弄ばれても、主人公に共感できれば面白さをそこに見つけることができます。

だから朝ドラの名作「おしん」は見ていて全然楽しくないですが、感動するのですね。

興味のあることではなく、共感できる要素を描け、というわけです。

野球にしか興味のない人に、「サッカーって面白いんだな」と思わせるようなドラマを作れということ。

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