なぜ日本のTVは医療ドラマと警察ドラマばかり放送するのか?【解説します】

病院・手術室

みなさんはドラマ、好きですか?
年が明けて、ドラマの新作が続々登場していますね。

私も好きでよく見ますが、一つ気になることがあります。
最近のドラマ、連ドラのラインナップを見ていると、いつも医者が主人公の作品や警察官が出てくる作品がずらりと並んでいますよね。

面白ければいいのかもしれませんが、さすがにうんざりしませんか?
しかもストーリーがいっつも似たり寄ったりの、たとえばこんな物語。

天才外科医が主人公で、
難しい手術を完璧にこなして、
患者が治って、
よかったよかった!

ってパターン。

いい加減飽きてません?
他にやるものないの?ってくらい。

あるいは警察ものだと、

天才的センスを持っているか、または問題のある主人公の刑事が登場。
個性的な性格で周りを引っ掻き回して大迷惑をかけるが、
事件が発生し、捜索をする途中で重要なヒントを見つけ、
犯人逮捕に至る。

毎クールがこの調子で、医療ものと警察ものドラマの繰り返し。

多少趣向を変えて、主人公が天才外科医から人間的な普通の外科医になっただけとか、刑事が超個性的なキャラから正統派の真面目な警察官に変わったりします。
でも、やっぱりどちらかのジャンルであることには変わりない。

あーーー、もう飽きた飽きた飽きた!
いい加減、他のジャンルのドラマを見せてくれよ!って思ったあなた。
正解です。

人はどんなにいいものでも、繰り返し味わうと飽きます。
にもかかわらず、テレビ局はこれでもかこれでもかと二つのジャンルにこだわって、繰り返し似たような作品を作り続けるのです。

なぜなんでしょう。
それを説明しましょう。

医療ものと警察ものは日常に死者を出せる数少ないジャンル

警察官

まず、第一の理由。
戦争が日常的に存在しない平和な国日本では、ダイナミックでドラマチックなシチュエーションを表現しにくいという面があります。

平和なことは大いにけっこうなのですが、反面主人公にとって激動の人生を送ることがあまりなく、起伏に欠けたストーリーになりがち。
やはり、戦争は人の人生を大きく狂わせる一大イベントです。

外国の映画やドラマには、戦争を舞台にした作品が頻繁に出てきます。
それだけドラマチックに描きやすいのです。

逆に言えば、戦争を描くとドラマチックになりやすい。だから戦争のある時代を舞台にした作品がよく登場するわけですね。

朝ドラでは戦争の時代を描くと、視聴率が上がり人気が出てきます。
大河ドラマだって、時代が変わっても、基本は戦(いくさ)のシーンが登場します。
戦いは否が応でも盛り上がるのです。

戦争を題材に取り上げると人の死が急に身近になってきます。人の重大関心事の一つである、「」。
これを容易に出すことができるのです。

ホームドラマで人が死ぬシーンはそう簡単に出せません。コメディもしかり。
ポンポン人が死んでいたらホームドラマにならないし、第一物騒です。

でも戦争を題材として扱えば、いくらでも人物を殺せるのです。
主人公の家族や友人、誰であろうと殺し放題です(笑)。
戦争は、ドラマ作劇上、とてもありがたい題材なのです。

そんな、人の死を描くことができるのが、医療ジャンルと警察ジャンルです。

この二つのジャンルは、突然人が死んでも違和感を感じません。
むしろそれを期待するほどです。

つまり、視聴者が最も強い刺激を受けるのが人の死であり、それを自由に登場させられる非常に都合のいいジャンルが、医療と警察ものなのですね。

高齢化する視聴者層の関心があるテーマが、健康と病気になっている

超高齢化社会を迎えようとする日本。国民の平均年齢が40代半ばになろうとしていることは、国としての構造もそうですが、ドラマの視聴者も同時に高齢化している現実を浮き彫りにします。

見ている人が高齢化する。これがドラマ作りにどのような影響をもたらすのでしょうか。

一つには、古い時代のドラマが増えること。
昭和の文化・風俗を描けば、自分が過ごしてきた経験を持つ時代ですから、それはウケが良いのですね。

時代の空気感も知っているし、自ら経験してきたことですから共感が持てるわけです。

人生の後半戦を生きている高齢者層にとって、勉強やスポーツ、恋愛や子育てといった主に人生の前半に起こるできごとよりも、政治や歴史といった大局的な世界観を表したジャンルの方が身近であり親密度が高い話題と言えます。

さらに、健康面での不安、怪我や病気などの身体的な問題に、いやでも関心を寄せてしまうもの。

健康面は、老いと共にどんどん強まってくる心配事です。

健康の不安から逃れられる高齢者はいません。
誰もが個人差はあれど、いくばくかの不安を抱えながら生きています。それだけに、関心の強さは若い頃とは段違いに大きいのです。

つまり、医療にまつわる番組を作れば、ドラマだろうとドキュメンタリーだろうとニュースだろうとバラエティだろうと、どれも関心を持ってもらえます。

健康、医療、闘病、病院、手術、どれも避けては通れないものなのです。
だから、必然的に興味をひかれるのです。
だったら、それを取り上げないわけにはいきませんよね。

超高齢化社会の影響が、ドラマの企画にも如実に反映されているのです。

医療制度が発達しているからこそ、病院に馴染みが深い

病室

日本の中にいると当たり前に感じていることが、実はそうではないことって結構あります。
国民健康保険がその一つです。

誰でも加入していれば3割負担で病院にかかれる。これは国外ではかなり珍しいことです。

つまり、他国の多くが病院にあまり馴染みがないのです。
普段行き慣れていないから、登場させてもあまり共感を呼べない。

しかし日本人は大した病気でもなくてもとりあえず病院に行きます。
つまり病院はカフェやコンビニレベルの馴染みの店の一つ、なわけですね。

生活の一部となっているから安易に登場させても違和感がない。
またそこで起こる事件やエピソードに何の違和感もなく入っていける。そういった日本独自の生活に根差した感覚が、より医療施設に対し馴染みを感じるわけです。

では、警察ものは?
警察官が日常に多く登場する人はそうはいないのでは?

確かにその通りですね。ただし日本には交番という施設があり、日常生活圏に警察官の姿を見かける機会が多々あります。

警視庁の刑事に会う機会はそうはないでしょうが、おまわりさんならしょっちゅう会うことができます。

あなたも日頃、よく警官を見かけませんか?

制作側の事情

警官たち

上の理由に加え、いくつかの要素が合わさると、さらに二強ジャンルの人気が再加速すると思われます。

成功例が後押しして類似の企画が通りやすくなる(過去の名作が成功したため敷居が低い)
他ジャンルの企画もあるが、2つの本数が多いため、比較すると多く感じる

日本には、企画のフォーマットとして2時間サスペンスというジャンル(TV番組枠)があります。

たとえば「家政婦は見た」シリーズや「マザコン刑事」、「十津川警部シリーズ」などの名作が次々と輩出された過去があり、伝統あるジャンルが確立されました。

その名作を生んだ枠ということで、かなり多くの人に愛されています。

2時間サスペンスは、単発一時間ドラマ枠を二つ使って長編単発ドラマとして放送され、ほぼ映画に近いスケールでストーリーを組み立てることができます。それにより、事件発生から解決までをその日のうちに終わらせることができる、しかもほどよい長さのドラマとして提供できるのです。

2時間ドラマでは医療ジャンルはあまり見かけませんが、警察ものや探偵ものは手ごろなサイズの物語のパッケージとして最適の商品なのですね。

その伝統ある枠だからこそ、似た企画は非常に通りやすい。

過去には数々の警察ドラマが作られており、それが実績となり企画が通りやすいのです。

以上の理由等から、医療もの、警察ものが幅を利かせるようになったと思われます。

まとめ:当分は医療・警察ドラマはなくならない

ということです。
諦めてマンネリの日本のドラマを我慢して見続けましょう。

それが嫌なら、NetflixかHuluのドラマを見るといいのでは、と思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です