なぜ、今どきのドラマは小説や漫画原作ばかりなのか?

一人で黙々と書き続ける男性

現在テレビで放送される連続ドラマの多くが、小説や漫画から原作を元に脚色した、いわゆる「原作もの」です。
一方、オリジナルの企画、つまり脚本家が作ったストーリーの企画は比較的少なく、この傾向はますます強まっています。

なぜこんなに原作もばかりが企画されて、映像化されるのでしょうか。

もはや、脚本家がオリジナルのストーリーを作って脚本を執筆するスタイルは、時代遅れなのでしょうか。

原作モノに対しての、僕なりの考え方をご紹介します。

原作がある作品をドラマ化するメリット

原作ものが強いのには、理由があります。

まずは原作をドラマ化するメリットを見ていきましょう。

人気の高い原作は多くのファンがTV局の代わりに番宣してくれる

まず新番組は、最初は誰も知りません。そこで番宣をしなくてはなりません。

新ドラマが始まることは、マニアならこまめにチェックするでしょうが、ほとんどの人は教えてもらわないと分かりません。事前に何度も番宣を繰り返して目に触れさせて、ようやく興味の射程距離に入ってくるのです。

番宣を運良く見てくれたとしても、実際に、放送を見てくれるかは時間にならないと分かりません。

原作ファンが大勢いれば、その人達が広告塔になり、話題を振りまいてくれます。
たとえば、電車の中釣り広告で、新作連続ドラマの番宣のチラシがドーンと貼ってあったとします。

そこへ複数のグループが車内へ入ってきて広告を見ました。

「あ、ついにドラマになるんだ!」
「何これ、ドラマ?」
「この漫画読んだことあるけど面白いよ。主人公がさ……」

と、原作を知っている人が仲間へ内容を紹介してくれます。人気原作であれば、誰かしら知っている人がグループ内にいるもの。
その人がテレビ局に代わって、みんなに宣伝してくれるんです。

実に効率のいい宣伝方法ですよね。みなさんも友達に番宣、していませんか?(笑)
つまり、そういうことなんです。

原作の知名度が視聴者を引っ張って来てくれる

これも、上の番宣に近い現象ですね。

原作があれば、少なくとも原作を知っている人、この機会に原作を知った人は、興味を持って放送当日にテレビをつけてくれる可能性があります。
ファンなら非常に期待できますね。

次に、ドラマの内容に興味を持ってくれるか? が問題になります。

全くのオリジナル企画の場合、内容は誰も知りません。ゼロから視聴者に説明しなければなりませんが、原作ものだと内容を知っている人が一定数います。さらに有名作であれば知名度もあるわけですから、なじみがあるし視聴する動機になります。

話題作であれば、人々の会話に登場する頻度も高まります。
それが口コミ効果となり、SNS等で拡散されればさらに話題が広まります。

原作漫画・小説のセールスやキャンペーンが行われ、さらに話題が拡散する

漫画や小説がドラマ化すれば、当然ですが原作もそれに合わせて宣伝を行います。

書店に行った時、平積みされた原作本に「202X年春、ドラマ化決定!」などと書かれたオビが巻かれているのをよく見ますよね。

タイミングを合わせれば、主演俳優やアイドルの写真入りのオビをつけますから、さらに多くの人の関心・興味を惹きつけます。
出演するタレント、役者、アイドルのファンも巻き込んでどんどん話題は広がります。

そうやって放送が始まって、内容が原作と同等かそれ以上のクオリティだったりすると、さらに進化して社会現象にまでなっていくんです。

それが、番宣のスゴさであり、破壊力の強さなんですね。

原作のある作品をドラマ化するデメリット

では逆に、マイナス面はないのでしょうか。
考えられるものに、次の要素があります。

原作を無視した脚色をすると、コアなファンが反発・抗議する

ファンというものは、どこまでもついて行く存在であると同時に、些細なきっかけで離れて行くものでもあります。

いったん放送してしまえば、いくらファンがクレームを入れてもよほどのことがない限り放送が中止になることはないでしょう。

特に、往年の名作で古参のファンが大勢いる場合、改悪は命取りになりかねません。

やれ原作のイメージと違う、登場キャラクターが出演俳優のキャラと全然かぶっていない、身長が低すぎ、スタイルが悪すぎ、顔面レベルが50段くらい違うとか……(笑)

出演する俳優さんも大変ですよね。それだけファンの思い入れというものは深く、そして強いものなんです。
安易に映像化して、原作レイプと言われてしまったら、とことん悪い評価が付いてしまい、挽回は非常に厳しいかもしれません。

あの制作陣はまた原作を破壊するのか、と印象付けられたら最後、汚名を挽回するのにどれだけかかることか。

創作者は毎回全力で作品作りを行う使命を担っているのです。それを映像化する制作陣は、どこまで原作の持つ魅力を映像に乗せられるか。
原作者が命がけで作り上げた原作のオリジナルの世界観を、たった数ヶ月の制作期間でどこまで再現できるのか。

場合によっては、原作者以上の表現能力が求められるのです。

原作の作風も重要です。
一般受けする原作であれば、よほどひどい改変をしなければ概ね好評に受け止められます。

でも、個性的でニッチかつマニアックな原作の場合、難易度が急激に上がります。
そのような作品のファンは、たいてい特別な感情を抱えています。原作の世間的知名度が低いほど、ファン同士の交流の機会が少なく、いわば常に虐げられた立場にあります。

それは、他人には理解されない趣向を持った少数派ならではの、一般人の浅い嗜みを許容できない逆選別主義に凝り固まったモンスターマニア達なのです。

原作を崇める行為自体が、他者による客観的目線からの、映像化という手法による「勝手な解釈」を許せない。
だからこそ、慎重に制作しなければほとんどの個性派作品はファンから拒絶されるわけです。

まあ、そこまでマニアックな作品を映像化するプロデューサー含めた制作陣は相当な野望家でしょうから、その程度の反発は覚悟の上だとは思いますが。

作り方次第では、原作者から抗議が来る

原作者がどの程度まで改変を許してくれるかによりますが、中には原作と異なるイメージが作られるのを嫌がる人もいます。

映像化をOKしておきながら首を突っ込んで来るのもどうかと思いますが、それも自分の作品を愛するがゆえ。
またファンに顔向けできないというのもあるでしょうね。

せっかく今までファンが付いて来てくれたのに、映像化したことでイメージを損ない失望されるのでは、と懸念を抱くかもしれません。

でも最も大きな理由は、原作者本人が一番思い入れが深く、自身で作り上げたイメージが崩れるのが嫌なんだと思います。

全ての監督やプロデューサーが完璧なわけではありません。
予算の都合、キャストの都合、その他様々な要素で理想通りの完成品にならない場合もあるでしょう。それでも作者は耐えねばなりません。こんなことなら許可を出さなきゃよかったと言われないよう、スタッフは全力で制作に挑むべきです。

残念なことですが最悪の場合、契約が解消されたり告訴されることもあり得ます。

そして原作者やファンが傷付くことでしょう。原作者は二度と映像化なんてしたくない、と頑なになってしまうかも。それがベストセラーをいくつも出している方なら、かなり大きな損失です。

だからこそ、映像化は慎重に進めねばならないのです。

まとめ:企画が量産される現状においては、原作がある方が有利。だが…

確かに、原作があると様々な理由で企画が通りやすいでしょうね。

脚本家としての理想を言えば、オリジナル作品こそがドラマ文化をより発展させるのは確かです。
現状、誰も知らないオリジナルの物語を何の疑いもなく受け入れてくれるほど、テレビの視聴者は面倒見がよくないのです。いちいち番宣を見ないと理解できないような作品を見るより、元々知っているストーリーの方が見る動機は大きいでしょう。

知名度のある原作の方が有利なのは間違いありません。では、オリジナル作品は、全く意味をなさないのでしょうか。作るだけ無駄?

いえ、そんなことはないと思います。

少なくとも、今までのドラマは原作のない、初めて見るストーリーでも高評価を得られる作品もあります。
要は、面白いか面白くないか、なのですから。

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