先月2/29にフジテレビのシナリオコンクール、『ヤングシナリオ大賞』の応募が締め切られました。
脚本家志望のみなさんも、応募された方が多かったのではないでしょうか。
僕も応募しました。
よかったよかった。
で。
終わっちゃいけません。ちゃんと反省会を行わないと、次のステップへ進めません。
たとえ受賞したとしても、しなかったとしても。
どちらでも、反省会は必要です。
ところでこのヤングシナリオ大賞、略してヤンシナは、毎年2月末に締め切りを迎えますが、前年の11月に前回の結果発表を行い、12月あたりに受賞作の映像化した作品を放送するというスケジュールになっています。
前回の第31回の映像化作品が放送されたようです。12月16日か……。
このスケジュールは、前回の受賞作をじっくり見てもらい、どんな感じに制作されるかをきちんと見てから次回に応募することができるのです。
フジテレビのコンクールは、シナリオを応募したい方へ向けて配慮されたスケジュールを用意してくれているのです。
12月に前回作を見て、約2ヶ月かけてシナリオを書き、応募する。
けっこう親切なんですよ。
ただ、今回僕はそれをすっかり忘れていて録画しておらず、見ていません。
前々回、第30回の時はきちんと録画したので感想を書きましたが。今回はパスですね。
フジテレビさんから2ヶ月の時間を与えられているにも関わらず、ぎりぎりまで書けないものなのです。どうにかならんかのぅ。
それがシナリオというもの。
不思議ですね、本当に。
反省会の目的
反省会は自分自身への教訓を与えるために行います。一作必死に書き終わると、そこでモチベーションが途切れてその作品から意識が離れてしまいます。
思い入れが強ければ別ですが、ほとんどの場合、その作品のことは忘れてしまい次作に関心が移ってしまいがち。
しかしここで何らかの課題が生まれたはずです。何も学びがない作品など、あるはずがないのです。
なぜ反省が必要なのか。
期限に間に合わせるように書いたため、どこかしら未熟な要素はあるはず。今回手薄になった部分、力を抜いてしまった箇所を洗い出し、次回に活かすために行います。
自分なりの反省と次回への伝達を行うことで、次回作のクオリティを上げるのですね。
では、僕の今回の作品はどうだったのか。
以下にまとめてみました。
執筆期間は十分に取れていたか、時間に余裕を持って書けたか?
大体僕は、いつもギリギリの時間で執筆を開始します。
今回はそれほど切羽詰まった状況ではなかったのですが、そこそこのギリギリ具合でした。
今回は、約半月前に参戦を決意。それまで書くか書かないか、迷っていたんですけど。
そこからキャラ設定、テーマの選定、構成、舞台などを練り上げる段階に入りました。
普段はここから大まかな流れを作り、各シーンをちりばめる「箱書」に移るのですが、初期設定として用意したものが途中で役に立たないと気付き、全部捨ててやり直しました。
ごたごたしながらキャラが動くのを待ち、本文執筆に突入。
この時点で締め切り6日前。そして締め切りラスト4日間は仕事があったのでフルに使えず。
5、6日前の2日間が勝負だな、と思いそこで集中的に書き進めました。
僕のシナリオ執筆スタイルは、本文を書きながら箱書の修正を同時進行で行います。
なので、前半の3分の1が見えたところでクライマックスまでの流れがほぼ確定していました。
ここまで辿りつけば、あとは書くだけなんです。もう勢いで行ってもそんなに大きなミスにはつながらずにエンドマークまで行ける。
執筆期間は、まあまあ合格点でした。
よくあるのが、締切のぎりぎり3日前から書き始めるとか……(笑)
いやダメでしょう、とほとんどの方が思うでしょうが、意外とうまくいくんですよ。
これは僕の持論でして。
ただ今回は、半月前くらいから構想を練り始めてキャラ設定まで作り、執筆に突入したので、まあまあ及第点をあげます。
プロの方や審査員は「もっと時間をかけんかいボケ!」とプンプンするでしょうが(笑)。
あらすじは丁寧に書いたか?
今回、最も課題として必須項目にあげたいのがこれ。あらすじはいつも本文を書き終えた後に勢いで書くのが恒例になっていました。
全部書いた直後なら全てを視野に入れた上で書くのでより正確に書ける、が理由です。
しかしこれは大きな問題があります。時間的余裕がなく、とりあえず書いて出す、が普通になっていたから。
冷静に考えれば、そんなろくに確認もしない状態で終わらせたら、そりゃ適当な出来になって当然です。
でも、よくよく考えてみて下さい。
あらすじは、まず審査員が「どんな内容かな?」と思って真っ先に読むところ。
下読みさんの中には、いきなり本文を読む人もいるらしいけど、概略をつかむのにとても大事なものです。
それなのに、適当に書いてあったらまずいですよね。
一見普通に書いたように見えても、よく読んでみたら支離滅裂だったり、重要な人物の行動が説明不足で面白さに欠けていたり、最も魅力的なシーンが平滑に書かれていて魅力が全然伝わって来ないとか。
せっかく本文のクオリティが高くてもそれを伝えるべきあらすじの完成度が低いため、あらすじだけ読まれて本文には目を通さず審査終了、となっているかもしれません。
(本文に目を通さない下読みがいるとは思えませんが、万が一そうしていたとしても誰にも気付かれない。下読みの作業を監視しているわけではないですから)
つまり、あらすじは本文と同じくらい重要なチェックポイントなのです。
だからこそ、時間をかけて書くべき。
今回、このあらすじを丸一日かけて書き上げ、修正のために推敲することができました。
今までこれほど時間をかけて推敲したのは初だったかもしれません。それくらい余裕があったとも言えます。これが効果的に思えました。
直せば直すほど良くなっていくんです。
あらすじ、決して軽視しない方がいいですね。
「キャラ設定」と「配役のバランス」は適正だったか?
主人公をはじめとして、登場人物が何人出てくるか、主要な人物と周辺人物、エキストラに近い端役、などの配置。
物語にもよりますが、何人で回す話か、はけっこう大事です。
登場する人数が多いと、一人あたりの出番が減ります。出番が減ると、一人ずつの人物の動きが少なくなり、共感しにくくなります。
出番が少なくても印象的にする方法もありますが、単純にしたり強い刺激でごまかす必要がありますので、どちらにしてもキャラクターの個性が貧弱になります。
これが意外に重要なポイントなのです。
ストーリーをより多彩にするために、様々な人物を入れ替えて見せる方法は、どこかに限界が現れます。
主人公とからめる人数は、より少ないほど主人公を多く出せるので、それも共感を得られやすくなるのです。
コンクールでよくあるフォーマット(一時間枠)だと、主要人物(主人公の周りで動き回るメインの人物)は、主人公を含めて4〜5名が限界でしょうね。5人は多いです。
3人か、4人がいいと思います。
2人だったら……実に素晴らしいですね。2人は逆に、濃密過ぎて話が単純化されてしまうため、よっぽどシンプルかつ骨太なテーマを掲げないと飽きてしまうかもしれません。
このキャラ設定と配役バランスが、今回応募した作品は、なかなかほどよく収まっていたな、と思っています。
今回の応募作品は原稿枚数が58枚だったので、ちょっと長めでした。きっと一時間枠プラス10分延長くらいの長さでしょう。
この配役を決める方法が、今回は割とシャープに作れたかな、と考えています。
当初はもう一人追加する予定でしたが、途中で削りました。不要な人物は消す。これが基本中の基本です。
これが2時間枠だったら、あと2〜3名出しても大丈夫だと思っています。
1時間枠は、ぎりぎりまでメインキャラの人数を削らないと、濃密なドラマを作り出すことができないのです。
あれ、あんまり反省していないような気が……。
いや、これでも反省してますから。