第44回・創作テレビドラマ大賞の対策と募集要項の注意点

大切な作品を書くお気に入りのノート

こんちは。ホン書いてますか?

さて、今年もいよいよ締切が近づいてきましたね。2019年第44回もそろそろ応募期間が終わろうとしています。

昨年は募集要項をしっかりチェックしろとお伝えしましたが、今年はどうでしょうか。昨年との違いを見極め、さらに受賞に到達するためには何をすればよいか。

では、改めて要項を見てみましょう。

参考 第44回創作テレビドラマ大賞・募集要項一般社団法人・日本放送作家協会

今年の特徴は性別・年齢・職業を問わなくなった

日本放送作家協会のサイトの目立つところに掲載されています。

募集要項とは別のページに、

今回から応募資格が変更になり、性別、年齢、職業を問わない」ことになりました。プロの映像ドラマ脚本家として活躍したい方の応募をお待ちしています

とあります。

うーん、じゃあ昨年までは性別、年齢、職業を問うていたんでしょうか、とツッコミたくなりますが、実際調べてみると……

あれっ?
第43回の募集要項を月間ドラマ誌で確認したんですが、特に変更点が見当たらないんですよね。

紙面に掲載されていた前回の要項は、

「プロのテレビドラマ作家を志す者。新人の他、テレビドラマ以外の作家活動経験者も可。」

とだけあります。

違いといえば、「志す者」、と「活動したい方」の違い、くらいかな?
どこが違うんだろう? 昨年までは志していれば受賞できた。でも今年からは活動したくないと駄目ってこと?
実際に活動する意思があって、局から依頼を受けたら積極的に書いてくれなきゃだめよ、ってことかな?

まあプロを目指すなら大歓迎な条件ですけどね。
プロを目指しておらず賞金が欲しいだけな人は、どのコンクールにもいるし、そういう方が大賞を受賞するのは珍しくありません。

過去に各コンクールで受賞して賞金はゲットできたけど、その後さっぱり名前を聞かない人なんていくらでもいます。

実力が不足していたかもしれませんし、努力できない人かもしれない。あるいはそんなにやる気がなかったとか、大賞をもらったらモチベーションが消えてしまって書けなくなったとか。

作家は「書く」ことより「書き続ける」ことの方が何十倍も辛いですからね。いわゆる一発屋って呼ばれる人達にはなりたくないですね。
まあ、その前に受賞しなくちゃ話にならないですが。

今年から制限が変更されたのは、性別・年齢・職業のどれか?

話を戻して。

今回の募集要項で変更されたのは、「性別、年齢、職業を問わない」点だとあります。
逆に言えば、昨年まではこの制限があったということ。
どこに制限がかかっていたんだろう?

性別?
それはないでしょうね。脚本家の世界は女性が活躍している業界です。男性が受賞しにくかったのでしょうか。でも男性作家もバリバリ活躍していますし受賞もしています。
性別の制限は考えにくいです。

では年齢?これはありますね。あまり高齢だと現場で無理がきかないような気がします。

プロデューサーから「明日までに全部書き直してきてね、よろしく」と指示を受けても、

「いやー疲れたんで今日はもう寝ます」
なんて答えたら、やっぱ現場では通用しないでしょうね(笑)。

職業は?
制限があるとは考えにくいのでは。今どきこの仕事をしているからあなたは受賞させられません、なんてあるかな? 職業が極道の方、反社会的組織に所属している方は後で炎上するので駄目です、ならあるかもですが、それをわざわざ募集要項に入れる?(笑)

でも実は、見えないところでフィルタをかけていたとかならありそうです。
例えばアルバイトや日雇い暮らしの方はどうせ低レベルだろうから最初に選考対象から外しておこう、とか。と言っても審査しないのではなく、ある種の優先対象からのけておくというやり方です。
……と、そんな面倒なことをするより下読みにザッと全作品を読ませて基礎的水準に達しているかの一発フィルタリングをかけた方がよっぽど効率的なので、ありえないなと気づいた。

というわけで、昨年まで制限がかけられていたのは、年齢じゃないかと思います。
でも今年からは撤廃された。
喜ばしいことです。

もちろん、年齢制限で下の方にはかけていないと思いますよ。
フジヤンシナは前回中学生が獲りました。若すぎて受賞できないなんてことはないでしょう。
このコンクール、結構厳しめだし、前回も述べましたが軽薄な内容より社会性を重視しますから、若い方の受賞は難易度が高いはず。

ただ、制限がなくなったからといって受賞水準が下がったわけじゃないし、合格レベルに達していなければ受賞できないわけで。
何も変わってないと考える方が無難ですね。

そもそも、そんな差別的待遇なんぞするような余裕は、選ぶ側にないんじゃないかな? とも思う。
きらめく才能が次から次へと現れるならともかく、誰でもいいから書ける人カモーン!みたいな状態でしょ、今のドラマ界って。

誤解を恐れずに言うと、コンクールにおいて、関係者の方はそれほど期待していないんじゃないかと思っているんです。
あ、もちろん有望な人を期待しているから開催しているんですけど。

でも100年に一人みたいな天才は求めていない。
そんな狂気の天才が現れたらそりゃありがたいけど、そんな人は使いこなすのに苦労するというか、一緒に仕事をしていて振り回される人材は正直ゴメンだよって考えてるふしがある。
天才より、ほどほどの秀才で一緒に仕事をしやすい人の方が歓迎されるのです。

クラッシュするかポールポジションかの両極端なアイルトン・セナみたいな人だと困るわけですよ。それよりかは安定的なアラン・プロストの方が安心して任せられるわけで。
ネタが古くてすみません。

まあ賞金狙いの方は、そもそもこのコンクールに応募しないでしょう。たった50万円ですから。
本気のプロ志向の方が狙うべき賞です。

入賞作品の本数が減らされる可能性があるかも

その他の条件を見てみます。

作品の条件だと、「海外ロケが必要な作品や、時代劇は除く」は同じですね。
作品の長さも同じ、放送時間45分のもので20×20字で50~55枚
一人一作品共作は不可、も同じ。

あ、去年は「一人一作品(厳守)」とあったのに、今年は「厳守」が抜けていますね。ただのミス?
おそらく、一人が複数の作品を出しても無視される(1作しか評価されない)でしょう。
1本が大賞をゲットし、2本目が佳作を取るなんてことはない、と言う意味です。

お、細かい文言の相違点ですが、入賞作・賞金の項目にも差異があるぞ。
大賞1編 佳作2編、これは昨年も今年も同様。その下、

(ただし大賞の該当作がない場合は佳作を3編とします)

の項目が、今年は抜けている。
大賞がない場合に、かならず佳作を3つ選ぶことはなくなったのか。
佳作数を増やすとは考えにくいので、おそらく減らすのでしょうね。
佳作を2作選んでおしまい、とか。
大賞が出ない時点で残念な回ですが、佳作が2つだけってかなり寂しい状況ですね。

応募する側からすると、せっかく応募させておいてこれだけで終わりにするの? って気分。自分が受賞できなくても、他の人が大賞を取ればそれはそれで参考になる。

もちろん、映像化のレベルに達していない作品を無理やり受賞させるのもモヤっとしますわな。
でも入賞作が少ないのも考えものですよ。他に選べるものがなかったの? そんなにつまらない作品しか来なかったの? って余計に気になるっていうか。
バッターボックスに立った大谷翔平が空振り三振に終わったみたいな、虚しさ(笑)
まあしょうがないんだけど、この、納得が行かない感が半端ない。

応募する側は必死ですから、どうしても勘ぐってしまう。
1000編前後応募作があってどれも評価に当たらないなんて、選考基準に問題はないのか、とか。いやむしろ大賞がない時があるからこそ公平な選考が行われている何よりの証拠なんですが。
必ず大賞が出る方が、ちょっと怪しいわけで。

コンクールって開催する側もけっこう辛いのかもしれません。

「よくあるご質問」で気になるポイントは

昨年とほぼ同じですね。

昨年の同コーナーがどうだったか、今はみることができませんので、今年のを読んで気づいた点を。

発送方法は宅配便でもOK

Q.発送方法に決まりはありますか?

この項目は面白いですね。ちょっと引用してみます。

A.基本的には決まりはありません。普通郵便でも書留でもレターパックでも構いません。
ただし、宅急便の場合は消印がないので、宅急便で送る場合は応募締切の6月30日までに届くようにお送りください。
郵便の場合、6月30日の消印が有効ですので、速達にする必要はございません。
6月30日にポストに投函した場合、7月1日の消印になってしまう可能性がありますので、消印の日付には十分にご注意ください。
料金不足でお送りいただくケースも多々見受けられます。せっかく期日までにご提出いただいても、受け取れない場合もありますので、その点もご注意ください。
封筒にはご住所やお名前のご記入もお忘れなく。

ほほー。

送付方法は郵送だけでなく宅配便もOKなんですね。
郵便も、普通と書留と速達とどれでいいか、迷いますよね。どれでもいいと。

締切の厳密な定義は
6/30までの消印、または宅配便は6/30到着分まで」ということですね。

こういう締切の規定を見るといつも思うのは、なぜ消印にこだわるんだろうということ。
でもここをきちっと決めないと、「ちゃんと送ったのに私の作品は審査されていない!」と抗議する人がいるんでしょうね。
届いた証拠と、期限に間に合った証拠を形にして残す(ことで上記の抗議に対応する)ために規定されていると。

速達に関しても、期限6/30に絡むのであれば、届くのが速いかどうかは関係なく、消印が間に合っているかどうかの問題だ、となるわけですね。
速達にしても、期限を過ぎていればアウトということ。

地方からの応募だと、実際に到着する日が都内より遅れますし、公平性を保つにはこの方法しかないのでしょう。

料金不足に関しても、完全に駄目とは断言していないけど、アウトでも文句言うなよ、ってことでしょう。最初から全く切手を貼っていないとか、明らかに料金を負担してもらおうという魂胆が透けて見えるのは駄目とか?
ちょっと惜しい! くらいなら多めに見てもらえるのか。
いずれにせよ、こういう微妙なラインでの白黒は、対応者の裁量にかかっているわけで、甘えは許されないと考えるべきですね。

今年から変更されている点・ダブルクリップ留め

 

Q.脚本はダブルクリップで右上を挟んでくださいと言う事ですが、ヒモで綴じたり、製本してしまってもいいのですか?
A.昨年まではヒモで綴じる事をお願いしておりましたが、今年からはダブルクリップで挟むだけにしてください。
一枚目の個人情報は外したうえで審査を行いますので、ヒモで綴じたり、製本したりはしないでください。

 

これは重要です。
キチンと守らないとアウトになります。
「~してください」とあるものは指定であり指示ですからね。おそらくひもを外す手間すら省略したい(くらい忙しいし時間がかかる)ということでしょう。

下読みに原稿を渡したり審査する際にコピーを複数とるはずですが、ひもをいちいち外してコピー機にかけるのに時間がかかる。それを効率化したいということですかね。

まとめ:募集要項を読む時間は確保しておくこと

以上、とりあえず見てみましたが、やはり基本ルールは守りましょう、そのためには募集要項をよく読みましょう、ということ。

募集要項をよく読むには、そのための時間を確保することです。原稿を書く時間も大切ですが、ルールを守るための時間も重要だということですね。

プロを目指すあなたに、ご武運とご加護を。

 え、僕ですか?
おっと、まだ自分の応募作が全然書けていない……。 

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